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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第九回・伍】散歩道

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「…オイ」
京助が坂田の背中を蹴った
「ん~…」
モゾモゾと動いたっきり坂田はソレから動かない
「…寝やがった…;どうすんだよ明日学校なのによ;」
京助が坂田の背中を見ながら言う
「家に電話しなさい? 泊めるなら泊めるで連絡しないと心配するでしょう? いくらミノちゃんでも一人息子だし」
母ハルミが言った
「まぁ…そうだろうけど…しゃぁねぇなぁ;」
京助が頭を掻きながら立ち上がり電話が置いてある棚に近付いた
「何~? 坂田寝てる~」
風呂から上がってきたパジャマ姿の悠助が坂田の顔を覗き込んで笑う
「変な寝顔」
慧喜が同じく坂田の顔を覗き込んで言った
「悠ちゃん坂田君に何かかけて…」
母ハルミがそう言いかけたところで部屋の戸が開いて緊那羅が小さめの毛布を持って入ってきた
「あら気がきくのねさすがだわ緊ちゃん」
緊那羅が坂田に毛布をかけるのをみて母ハルミが笑った
「…今迎えにくるってさ」
電話を切った京助が振り返って言う
「え~坂田泊まらないの~?」
悠助が眉を下げて不満そうに言った
「明日学校だしな休みならまだしも」
電話を置いて京助が戸の方へ歩き出した
「どこ行くの義兄様?」
慧喜が戸を開けた京助に聞く
「便所」
京助が戸を閉めながら答えた

「京助」
トイレから出てきた京助を呼んだのは緊那羅
「順番待ちか? でっかいのじゃねぇから臭くないぞ」
京助が戸を開けて緊那羅にトイレを譲ろうと横に避けた
「違うっちゃ; あの…私…」
緊那羅がトイレにきたわけではないと聞いた京助がトイレの戸を閉めた
「なんだ?」
洗面所の蛇口をひねった京助が鏡越しに緊那羅に聞く
「ごめんくださいー」
緊那羅の言葉が玄関先から聞こえた言葉に止められた
「あ、やっぱ柴田さんか」
京助が手の水滴を飛ばして緊那羅の横を通って玄関へと向かう
「あ…京助…」
「後から聞くわ」
そう言って京助が小走りで廊下を駆けて行った

「ごめん京助君」
柴田が苦笑いで京助に謝った
「別にいいよ柴田さん; ヤツは茶の間で夢の中だし」
京助が家の奥を指さすと柴田が靴を脱いだ
「お邪魔します」
一応言って柴田が家に上がった
「あら! 勝美君」
柴田の顔を見るなり母ハルミが嬉しそうに言った
「こんばんはハルミさんスイマセン;」
柴田が苦笑いで言う
「いいのいいの! 泊めてもいいのよ? ウチは」
母ハルミが言った
「姐さんが連れて帰ってこいって言うモンですから…爆睡してますね若;」
坂田の顔を覗き込んだ柴田が呆れ顔で言う
「…アイツ誰?」
慧喜が柴田を見て悠助に聞く
「柴田さんって言ってね坂田の家の人」
悠助が答える
「…どうしたの? 慧喜」
柴田を黙って見ている慧喜に悠助が聞いた
「…ううん…ただ…ちょっと似てるヤツ知ってるから…」
「世の中には似てるヤツが3人はいるらしいからな」
慧喜の言葉が聞こえたのか京助が言った
「栗とウニとタワシみたいなモンだ」
「そうなの?」
京助が言うと悠助が聞き返す
「まぁそんなトコだ」
京助が言う
「変なこと教えるんじゃないのアンタは」

バフン

母ハルミの言葉と共にクッションが京助めがけて飛んできた