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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第九回・伍】散歩道

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「あれ? 若」
南と中島と別れて歩いたいた坂田の耳にさっきまで話題に上っていた人物の声がした
「柴田…」
坂田が振り向くと同時に駆けてきたのは柴田
「今帰りですか?」
少し青み掛かった背広を着た柴田が缶コーヒーを片手に坂田の隣に立った
「まぁな…お前は?」
坂田が足を進めると一緒になって足を踏み出した柴田に坂田が聞いた
「俺ですか? 俺は…まぁちょっとヤボ用で…飲みます?」
笑って言った柴田が飲んでいた缶コーヒーを坂田に差し出した
「…コレ砂糖入ってんのか?」
柴田の差し出した缶を見て坂田が言う
「微糖ですよ」
柴田が答えた
「…微糖ってどんくらいだよ」
坂田が再び柴田に聞く
「えっと…少なくともブラックではないですよ」
柴田が自信なさげに苦笑いを交えて答える
「…いい」
坂田が缶を付き返して歩き出した
「…子供だなぁ若」
プッと小さく噴出した柴田を思い切り振り返った坂田が柴田を睨んだ
「何がだよッ!!;」
そして怒鳴る
「いや…スンマセン」
口では謝っていても柴田の顔は笑っていた
「ったく…せっかく土産買ってきてやったのによ」
坂田がふぃっと向きを変えて歩き出すと柴田がその後をついていく
「土産ですか? 俺に?」
坂田と並んだ柴田が坂田の持っていた買い物袋に気が付いた
「復刻版のチーズおかき」
袋を前後に振りながら大股で歩く坂田が言う
「え!! 本当ですか若! うっわー! 嬉しいナァ」
柴田の顔がぱぁっと明るい笑顔になった
「買おう買おうって思ってたんですけどすぐ忘れてきちゃうんですよね俺」
そしてそんな嬉しそうな笑顔のままで柴田が言った
「お前どっかヌケてんだよ」
坂田が鼻で笑いながら言う
「ひどいナァ若;」
柴田が苦笑いで言った
「俺に黙って出歩いてるからだ呪われろ」
坂田がジト目で柴田を見ると一瞬きょとんとした柴田がふっと微笑んで坂田の頭に手を置いた
「なんだよ;」
坂田が柴田の手を掴んでどけてもまた柴田が坂田の頭に手を置いた
「なんなんだよ;」
それでもめげずに坂田が柴田の手をどかすが柴田がまた手をのせる
「いや…若だなって」
柴田が言う
「はぁ?;」
坂田が疑問形の返事をした
「大きくなってもそのふてくされ方はかわりませんね」
柴田が笑った
「変わんねぇのはお前だろ;」
坂田が突っ込んだ
「えー? そうですか? …変わったと思うんですけど…ホラ、こう…貫禄出てきてません?」