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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第九回・伍】散歩道

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「あれ? 本間…」
セブンイレブンに入った瞬間坂田が知り合いを見つけて小さく言った
「柴田さん」
本間も気づいたのか柴田の名前を呼んだ
「俺は!;」
柴田の名前しか言わなかった本間に坂田が言う
「と坂田」
表情を変えずに本間が付け足した
「こんばんは香奈ちゃん」
「か…!?;」
柴田が本間を苗字ではなく名前で呼んだことに坂田が目を見開いて柴田を見た
「どうしたんですか? 若」
変な顔で自分を見る坂田に柴田が聞く
「か…香奈ちゃんって…」
「私」
坂田が言うと本間が挙手して言う
「それはわーってる!!; なんでお前本間を名前で…」
坂田が柴田に聞いた
「え? いけませんか?」
柴田が聞き返した
「怪我はもういいんですか?」
坂田を無視しているようなカンジで本間が柴田に聞いた
「ああ…なんとかもう大丈夫」
柴田が答えるとやんわりと本間が微笑んでそして一礼をした後坂田と柴田の間をすり抜けてセブンイレブンから出て行った

「若~?;」
ガサガサと袋を持って歩く柴田が先を行く坂田に声をかけた
「若ってば;」
柴田に買ってもらったブリトーをもくもくと食いながら歩く坂田は足を止める気配がない
「何怒ってるんです?」
少し足を速めた柴田が坂田に追いついた
「若!!;」
追いついたかと思うとまた歩く速度を上げた坂田が先を行く
「…ふぅ…; …ん?」
溜息をついた柴田が何かを見つけて顔をそちらに向けた
「わ------------か--------------!! いきますよ---------------!!」
しばらくして柴田の大声が聞こえ思わず坂田が振り返った
「な…」
何かを言おうとした坂田の目に映ったのは中を飛ぶ何か
そしてその何かが缶であることがわかって坂田がソレを受け止めた
「ナイスキャッチ」
柴田が笑いながら駆け足でやってきた
「…ジョージア」
坂田が自分の手の中の缶を見て呟いた
「飲めるようになったんですよね?」
カシっとタブを上げて柴田が言う
「ハイ乾杯」
勝手に坂田の缶に柴田が自分の缶をぶつけて音を鳴らした
「何に乾杯なんだよ;」
坂田が柴田を見て聞く
「とりあえず…若がコーヒー飲めるようになったってことにでもしておきますか」
白く昇る湯気と香ばしい香りが漂う中柴田が笑った
「…阿呆くさ」
そう呟きながら坂田も缶のタブを上げて口をつけた
「こんなトコ姐さんに見つかったらやばいですね」
柴田が言う
「一本背負いモンだな」
坂田が言った
「やっと口聞いてくれましたね」
「ブッ!;」
柴田が言うと坂田が噴出した
「若黙ったままなんですもん」
ハハハと柴田が笑う
「それはお前が…ふぐ」
怒鳴り始めようとした坂田の口に柴田が何かを押し込んだ
「もう遅いですから近所迷惑ですよ若」
にっこり笑った柴田の手にはチーズおかきの包み紙
「やきもちありがとうございます」
クシャシャと柴田が坂田の頭を撫でて笑うと坂田が思い切り柴田をひっぱたいた
「お前ってさ」
坂田が言った
「なんですか?」
柴田が聞き返す
「つかめねぇよな」
坂田が言うと柴田がきょとんとした顔をする
「なんですかいきなり…」
柴田が言う
「隠し事は多いわ…いなくなるわ抜けてるわ」
坂田が指折り言った
「…俺が組継ぐならお前はずっといるのか?」
「え?」
最後小さく言った坂田に柴田が聞き返す
「うら、ゴミ」
坂田が柴田に飲み終えた缶を押し付けて門の横の出入り口から中に入った
「たまには茶にしろバーカ」
玄関に向かってかけていきながら坂田が言った
「バーカって…」
駆けて行く坂田の背中をぽかんと見ていた柴田がプッと噴出したのはまもなくのことだった