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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第九回・伍】散歩道

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「…若?;」
止まったままだった坂田がハッとして勢いよく後ろを振り返ると部屋の戸口に立っていたのは柴田
「ノックしろッ!; ビビルじゃねぇかッ!!;」
坂田が怒鳴った
「しましたよ; したんですけど返事が…あ、ニャロメここにいたんだな」
「にーぅ」
柴田がしゃがんで手を叩くとニャロメが坂田の膝から飛び降りて柴田の元に駆けて行った
「…何の用だよ」
坂田が立ち上がって聞く
「あ、暇なら散歩いきませんか? セブンイレブンまで」
柴田がニャロメを抱き上げて立ち上がった
「何しに」
坂田が聞き返す
「ホラ…チーズおかきの復刻版あるじゃないですか」
柴田が言う
「…買いに行くのか? 今から?」
坂田がまた聞き返した
「覚えてるうちにと…でもホラ一人で行くのもなんだから」
「何で俺よ」
口ではそう言いながらも坂田が壁にかけてあった上着を手に取った
「肉まんくらいおごりますから」
上着を着込んでいる坂田を嬉しそうに見ながら柴田が言った
「ブリトーもつけろハムチーズの」
坂田が言う
「ハイハイ」
柴田が笑いながら部屋の戸を開けた
「…お前ソレで行くのか?」
坂田が柴田を見て言う
「え? あ…そうですね部屋戻るの面倒くさいですし…コレでいきます」
深い緑色のスーツを見た後顔を上げて柴田が笑った
「生きてるカイロありますし」
「みー」
柴田がニャロメを撫でるとニャロメが鳴いた
「…セブンは動物持込禁止だろ馬鹿め; …待ってろ」
部屋の押入れを開けた坂田が黒と白のマフラーを引きずり出して柴田の首にかけた
「ないよりマシだろ」
坂田が言う
「ですねありがとうございます」
柴田が笑うと坂田が照れ隠しなのかメガネを外して上着の裾で拭いた
「にーぅ」
ニャロメが鳴いた
「こないだの根雪にはならなかったんだな」
外に出た坂田がうっすらと積もった雪を靴でかいた
「こないだ…ああ京助君の家に行った時ですね」
柴田が言う
「…やっぱお前が迎えにきたんか…」
歩きながら坂田が言った
「若は相変わらず一回寝ると中々起きないですよね」
「うっさい!!;」
柴田が言うと坂田が怒鳴る
「まだ七時なのに真っ暗ですね足元気をつけてくださいね」
間隔をあけて街灯はあるものの暗い道
「お前が行こうって言ったんじゃん;」
坂田が突っ込む
「…なぁ」
しばらくして坂田が柴田に声をかけた
「お前俺が組継がないって言ったらどうすんだ?」
坂田の質問に柴田が足を止めた
「継がないんですか?」
柴田が聞く
「継がないって言ったらってんだろ; もしだよもし; …どっか行くのか?」
坂田が振りかえって言う
「そう…ですね…どうしょうかなぁ…」
「…お前は…;」
まるで人事のように笑いながら言う柴田を見て坂田が肩を落とした
「俺帰るトコ…あるにはあるんですけど帰りたくないんですよね」
柴田が言う
「…家族は? 母さんと…」
坂田が言いかけて言葉を止めた
「いますよ? 俺の家族は坂田組の皆です」
柴田が笑いながら言った
「…なんだソレ」
坂田が気まずそうにそれでも突っ込んだ
「帰りたいと思うところは今のところ俺にとっては坂田組なんですよ」
坂田の頭に柴田が手を置いた