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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第九回・伍】散歩道

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「根雪にはなりませんでしたね」
柴田が下を見て言う
「そうだな」
坂田が淡白に返す
「今年は雪多いんですかね」
柴田が今度は空を見上げて言う
「さぁな」
やはり坂田が淡白に返す
「…若;」
柴田が溜息をついた
「何ふてくされてるんですか」
「ふてくされてなんかいねぇよ」
柴田が言うと坂田が即答した
「…ふぅ;」
柴田がお手上げと言わんばかりに溜息をついて頭を掻いた
「大体…」
坂田が唐突に言葉を発した
「大体お前は隠し事やら謎が多いんだよ」
坂田が歩きながら言う
「俺が生まれてからずっといるけどいつも隠してばっかじゃん」
柴田が少し視線を落として前を歩く坂田の背中を見る
「歳だって知らねぇしどっから来たのかも知らねぇ」
車が跳ねた泥水を避けながら坂田が言う
「若…」
柴田が坂田に声をかけても坂田の足は止まらずに歩き続ける
「お前は」
そんな坂田が足を止めて振り向いた
「お前は何で俺に構うんだ」
坂田が柴田をまっすぐに見て言う
「何でって…」
「俺が次の組長だからか? 親父に頼まれたからか? 母さんにみてろっていわれたからか?」
いきなりの質問に驚いている柴田に更に坂田が突っ込んだ
「もしそうならもう俺に構うな。話しかけるんじゃねぇ」
坂田が背中を向けた
「ソレもありますけど」
柴田が言うと坂田の方が少しぴくっと動いた
「もう一つ理由があるんですよ」
坂田の頭に柴田が手を置いた
「よっこいしょ」
「のぁッ;」
坂田の体が宙に持ち上げられた
「おろせ! 馬鹿ッ!;」
「重くなりましたね若」
「おろせってのッ!!;」
坂田を抱き上げた柴田が笑うと坂田が怒鳴る
「俺が構いたいから構うんですよ若」
坂田を下ろしながら柴田が笑った
「…ソレ理由になってねぇじゃん…」
抱き上げられたことで出た腹をしまいながら坂田が言う
「立派な理由じゃないですか」
柴田がポケットから何かを取り出した
「大きくなりましたね若」
笑いながら柴田が坂田の口にチーズおかきを押し込んだ
「付いてきますか? 俺のヤボ用」
行く先を指差しながら柴田が笑った