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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第九回・伍】散歩道

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「ぬる…;」
カイロ代わりだといって買った缶の中身を一口飲んだ坂田が呟いた
「こんなに甘かったっけか…」
ギィと机のイスを鳴らして背をそらせると缶をじっと見た
「変わらぬおいしさジョージアオリジナル…ってか…」
自分の吐く息がほんのり香ばしい
「…阿呆くさ」
ボソッと呟くと立ち上がり壁にかけてあった上着を取ると坂田は部屋を出た
「おでかけですか? 若」
廊下ですれ違う組員にいちいち返事はせず片手を上げ続けて玄関へとたどり着いた坂田が靴を履いていると後ろから足音が近付いてきた
「あれ? 若も出かけるんですか?」
坂田が靴を履いている隣に下ろされた黒い靴と聞きなれた声に坂田が顔を上げた
「柴田もか?」
坂田に聞かれた柴田がにっこり笑って頷いた
「京助君の家ですか?」
靴を履きながら柴田が聞く
「…別に…お前は?」
トトンとつま先を地面に打って靴を履き終えた坂田が柴田に聞く
「俺はホラ…って…若コーヒー飲みました?」
柴田が言うと坂田が一瞬止まった
「…悪ぃかよ;」
そして少し膨れて答える
「いや…そうじゃなく…そうかー…飲めるようになったんですね」
少し驚いた顔をした後柴田が微笑んだ
「なんだよ…」
「…いつまでも子供じゃないんですね」
ガララと引き戸を開けながら柴田が言う
「当たり前だろ」
柴田が開けた引き戸を坂田がくぐった
「今度一緒にコーヒー飲みながらチーズおかき食いませんか?」
自分もくぐった後引き戸を閉めながら柴田が言った
「…考えとく」
立ち止まったまま坂田が言った
半分溶けかかった雪道と呼ぶには少し呼びにくい道を歩く柴田が軽く溜息をついた
「…若;」
足を止めて振り返ると電信柱から少しはみ出ているモスグリーンの上着に声をかけた
「別に同じ方向に行くだけなんだ」
自分に言い聞かせているかにも捕らえられる口調で言いながら坂田が電信柱の影から現れてツカツカと歩き出す
「なら一緒に行きますか?」
小さく笑いながら柴田が言う
「おうよ」
坂田が意味なく大きな声で返した