緑の季節【第三部】
その後、ドライブを楽しみながら行楽地の茶店や土産店に立ち寄ったりして過ごした。
「初めてのデートって感じ」
「そうか?あちらでもドライブしたでしょ」
「あの時は、私が足を怪我して、でもふたりで部屋に居るのがなんだか苦しくて連れ出してくれたんでしょ?」
「そうだったかな」
覚士は、自分が沙耶香の笑顔に癒されていることに改めて気づいた。
夕暮れ近くに『さんぽみち』に戻って来たふたりは、客の切れ間にママへ話し始めた。
「ただいまー」
「おかえりなさい」
「すみません。今日は一日沙耶香さんを連れ出してしまって」
「伯母ちゃん、少し話聞いてもらっていい?」
「はい。何かしら」
ママは、ふたりに空いている席を勧め、自分も沙耶香の隣に座った。
「あのね。私、真壁さんとお付き合いしてるの。あっちに居る時から」
ママの顔が一瞬、曇ったようだったが、ママは覚士をじっと見た。