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緑の季節【第三部】

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公共機関を乗り継いで沙耶香の家近くまできた時、沙耶香は覚士にキスを求める仕草をしたが、覚士はできなかった。
「許しがもらえてからにしよう。それまでは、ここの沙耶香に」とロケットに口づけた。
沙耶香もため息と尖らせた唇でロケットにキスして家へと入って行った。
家に戻った沙耶香は、覚士に会ってきたことは言わずに過ごした。
覚士とメールでたくさんの会話をしてその日は暮れた。

街は暮れに向かって賑やかになってきていた。
街の木々には電飾が付けられ、店で流れるクリスマスソングがプレゼントを探す人たちが店の扉を出入りする度に外に響いた。
そんな街の中を、覚士と覚士の両親は、新城家へ伺う手土産を買い求め、新城家へと出かけた。
重い気持ちで訪れた三人だったが、新城家の対応は緩やかだった。
それでも、ひたすら謝罪の言葉と下げる頭は少なくなかった。
「真壁さんもご両親も、もう振り返るのはここまでで、これからのふたりの進む方向を話しませんか」と場の空気を変えたのは沙耶香の父親だった。
覚士、沙耶香も居る中、双方の両親は、表情も喜びに変わるほど意気投合してふたりのことを話した。

月日は新しい年を迎え、それぞれに仕事や日々の生活を楽しく送っていた。
やがて、寒さも緩み、暖かい日差しを感じる季節になり花の香りもどこからか運ばれてくるようになった頃、(かたちだけは)と、新城家に結納の品が届けられた。

木々に新緑が芽吹く頃、真壁 覚士と新城 沙耶香は夫婦の契りを結んだ。

作品名:緑の季節【第三部】 作家名:甜茶