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緑の季節【第三部】

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「いらっしゃいませ。あら?」
「こんにちはー」
沙耶香は明るく挨拶をして店内に入った。
「先日は・・」
「どうぞ、入って。沙耶香、あちらの奥の席がいいかな。ふたりともコーヒーでいい?」
「あっはい」
ふたりの前にいい香りのコーヒーが運ばれてきた。
ちょうど、お客も途絶えたところだったのもあり、ママは 看板を閉まった。
ママ自身もコーヒーを入れ、席に座った。
「今日は、どういう事。お父さんは知ってるの?」
「いえ、今日のことは、僕の一存で沙耶香さんを連れ出してしまいました。申し訳ありません」
「私に謝っても仕方ないけど、沙耶香は真壁さんとお話できたの?」
「うん。今、真壁さんの奥さんだった人のお墓行って来た。それで決めた。お父さんたちにもちゃんと話す」
ママは、優しい眼で沙耶香を見つめながら何度も頷いた。
「そう、なんだか数日前よりずっと強く、大人になったみたいね。綺麗にもなったかな」
「伯母ちゃん。幸せになるから、ずっと味方でいてね」
「はいはい。真壁さんが守ってくれるわよ。真壁さん、今度こそ、沙耶香のことよろしくお願いしますよ」
「はい」
覚士は、多くは語らず、伯母と姪の笑いのある会話をただ聞いていた。
陽のあるうちに家に帰れるよう沙耶香を送ることにした覚士は、何度もママに頭を下げながら店を出た。

作品名:緑の季節【第三部】 作家名:甜茶