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緑の季節【第三部】

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タクシーを拾うと、ある場所へと向かったその先は、里実が眠る墓地公園だった。
「『こんな所へ連れてくるなんて』と思っているだろうけど、僕はきちんと伝えたい。もうここには来ないから」
「ここって」
「うん、写真の、僕の妻だった人の眠る場所。里実、僕はこの人と新しい人生を始めるよ。だから見届けてくれるね。沙耶香ちゃん、ここで付けさせてもらっていいかな。君のペンダント」
「うん。私もしていい?」
「ああ、嬉しいよ」
ふたりは、お互いにペンダントを付け合った。
そして、里実の墓に手を合わせた。
そして、振り返ることなく墓地を去った。
そこから、少し距離があったが、ふたりは『さんぽみち』まで歩くことにした。
道すがら、以前付き合っていた頃の話をするうち、沙耶香が結婚をしようとした相手のことを話し始めた。
「・・・だから、私も」
覚士は、沙耶香の手をぎゅっと握った。
「それは、言わなくていい。僕が辛い思いをさせてしまったのだから。僕がずっと大切にするから守るから」
『さんぽみち』はもう目の前にあった。
「大丈夫?伯母さんにちゃんと会える?という僕の方がどきどきしてるから、宜しくね」
沙耶香は、出そうになった涙をこらえ、クスンを笑った。

作品名:緑の季節【第三部】 作家名:甜茶