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緑の季節【第三部】

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約束の土曜日、覚士は、『さんぽみち』へと出かけた。
「いらっしゃいませ」
「おはようございます」
変わらぬ様子のママがそこに居た。
そして、その横に沙耶香がにこやかに立っていた。
「あのモーニングセットを頼んでいいですか?」
「はい。さあお席にどうぞ」
沙耶香が後を着いて来た。
「ご一緒してもいいですか?」
「いいけど、ママは知ってるの?僕たちのこと」
「ううん。でも・・・」
ママが、ふたつ運んできた。
「久し振りですね。沙耶香が真壁さんを誘ったからって、ご一緒させてやってくださいね」
沙耶香は、にこにこと覚士を見つめていた。
「いただきます」
ふたりは、一緒に来たカップルのように言葉を交わしながら食べ始めた。
「やっぱり、伯母ちゃんのは美味しい。真壁さんと一緒も嬉しい」
「なんか沙耶ちゃん雰囲気が違うと思ったら、髪切った?」
「うん。あっ、はい。もう社会人だから少し落ち着いた感じにしてみました。どう?」
「似合うよ。でも外見だけじゃな・・」
沙耶香は少し口を尖らせて覚士を見た。
「真壁さん、しばらく会わないうちに意地悪になったみたい。あちらではいつも優しかったのに。すごく会いたかった」
「連絡しなくてごめん。それから、卒業と就職おめでとう。おかえり」
「ありがとうございます。このあと予定ありますか?」
「別に。沙耶ちゃんが誘ってくれたんだから付き合うよ」
「ほんと。じゃあ、どこか行きたいな」
ふたりは、食べ終わると店を出ることにした。
そんなふたりをママはにこやかに見送ってくれた。

作品名:緑の季節【第三部】 作家名:甜茶