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緑の季節【第三部】

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覚士も帰り道、ふと空を見上げると街灯の光の向こうに星が見えた。
胸ポケットの携帯電話が鳴った。
沙耶香からのメールが届いたが、そのままポケットに納めた。
まるで里実と沙耶香が自分のことを見ている気がした。

マンションに戻ってから覚士は沙耶香のメールを読んだがその返事をすぐにする気にはなれなかった。
携帯電話をテーブルの上に置くと、冷蔵庫からビール缶を出し2、3口飲んだが、少し疲れた体をベッドに横たえた。
何も考えず、眠りについたのは久し振りだった。

翌朝、目が覚めたのは、昼間近だった。
別に約束もない。
誰かに気を使うこともなく少しの間、ベッドの中で体を伸ばしていた。
そんな覚士を起き上がらせたのは、昨夜から食事をしていない空腹感だった。
がさがさとキッチンで食料をあさり、インスタントのコーヒーをマグカップで飲みながらリビングに座りこみ、テレビのスイッチを入れた。
独りになってからも部屋はどちらかといえばきちんと片付けられ、洗濯もそうじも時々は食事の支度もしてきたが、今日は何もする気が起きない。
興味のあるテレビ番組があるわけではないが付けっぱなしの映像と音声が覚士が部屋にいることを証明していた。

作品名:緑の季節【第三部】 作家名:甜茶