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緑の季節【第三部】

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店を出てしばらく歩くと覚士に声を掛けてきたのは水上だった。
「真壁さんですか」
「あ、どうも」
「どうかされたのですか。ずいぶん背中が暗かったですよ」
「そうですか。まいったな、そんなとこ見られちゃ。水上さんこそどちらへ」
「この近くに買い物へ」と言って手に持っていた小振りの紙袋を示した。
「時間があったら、お茶でも飲みませんか」
「ええ、構いませんけど、真壁さんの御用は大丈夫ですか」
二人は、喫茶店を通り過ぎ、水上が行ったことがあるというお酒も飲める店に入った。
「へえ、いい感じの店ですね。彼と来たとか」
「まあ、そんなところかな」
テーブル席もあったが、二人はカウンターの席に並んで座った。
「ソルティードッグ」
「じゃあ、私は、カンパリ・オレンジで」
二人は、何にという訳ではなく、乾杯した。
「んー美味しい。あ、私強くないですから。それにあまりカクテルって知らないけど、
かっこよくカクテルグラスで飲んでみたくて。以前頼んだとき、ふふふ、後は祭りで後の祭り・・・」
「あとは祭り?」
「そう、意識何処かへ飛んじゃったみたいで。お洒落に足のついてるグラスのカクテルは危険ね。私には強いみたいって知りました」
「で、彼が?」
「っていうか、その時に介抱してくれたのが縁というか。お礼言いたくて付き合うことになって。やだ私、何 真壁さんにしゃべってるのかしら」
「優しいんだ、彼氏」
「そう、優しかった、かな」
水上は、一気に飲み干してしまった。

作品名:緑の季節【第三部】 作家名:甜茶