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緑の季節【第三部】

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「さて、どちらまで?」
「ここから少し歩いた小さなホールで、デザイン展を開催(し)てるの。覚士さんにはつまらないかも知れないけど、沙耶香の先輩の作品も出展されてるの。これから私も頑張って見てもらえるもの作りたいなって、だから一緒に行きたかったの。沙耶香の仕事の第一歩」
「僕に 芸術がわかるかどうかだけど、行こうか」
沙耶香の道案内でそこを訪れると、普段目にしていても素通りしているものも、展示されているとつい見入ってしまい、時間が経つのを忘れてしまうかのようだった。
「沙耶香より真剣に見ていたみたい。声掛けられなかったもん」
「えーそうかな。確かに始めは、ぐるっと回って出てくるつもりだったけど、どれもいいね。スゴイよ」
「良かった。もう行くよーって言われちゃうかと思ってた」
「沙耶香の作品も認められて商品化されるといいね」
「うん。頑張る」
そんな時、沙耶香のおなかの音がした。
「あ」
「僕もおなか空いたな。何食べようか?」
「何でも大丈夫。食べたいもの・・何かな・・おなか空いた」
「なんだよ、それ」
ふたりは、一駅ほど歩いたところの店に入った。
たれの香りが店内に広がる「うなぎ」の店だ。
「匂いに誘われたでしょ」
「あはは、ばれたか。ふと食べたくなるね。といってもすごく久し振りだけど」
「うん、私も。あちらに居るとき、一度スーパーで買ったけど、ちょっとたれの味が合わなくて それから食べてないし、『ひつまぶし』って実は初めてなの」
運ばれてきた時は、「たくさんだね」と言っていたふたりは、食べ方を変えたりするそれを
ぺろりと平らげていた。
「ふう、食べちゃった。ごちそうさま」
「ははは、いい食べっぷりでした。ごちそうさま」
店を出て、街を歩いた。

作品名:緑の季節【第三部】 作家名:甜茶