緑の季節【第三部】
夕飯も済ませ、覚士がマンションに戻ったのは、22時も回った頃だった。
《遅くなってからごめんね。今日親に沙耶香のこと話してきた。両親は早く会いたいみたいだけど、まずは君の親に会ってからと思ってる。もし、都合が良ければ今度の土曜か日曜日に伺ってもいいだろうか?また返事ください》送信
まもなく、沙耶香からの返信があった。
《わあ、ドキドキする。でも嬉しいです。早めに連絡します。あー明日からバイト。少し気が重たかったけど頑張れそう。覚士ってメールになら書けるんだけどな、まだ呼べない。ごめんね。おやすみなさい》
《おやすみ》送信
翌日の朝、覚士は沙耶香に励ましのメールを送ると会社に出勤した。
出向先では、決まった事柄だけの仕事で済んでいたが、こちらではそうはいかないし、
戻ったばかりというのに資料や仕事は机に山積みになっていくようだった。
ただ作業の補佐を水上がしてくれることで資料の整理はスムーズに片付いていった。
おかげで、出勤時の心配は退社時間の頃にはほとんど解消されていた。
忙しかったその週も過ぎてしまえば「あっ」という間に週末を向かえていた。