陰謀
「冗談ですよ。あなたの寝室には中から鍵をかけることができます」
「そうですよね。驚きました」
「驚かせてごめんなさい。ところで、あなたはなぜ家政婦という職業を選んだのでしょうか」
「わたしは貧しい母子家庭で育ちました。学歴も、中卒なんです。だから、母と同じ職業に就きました」
「それだけの容姿で、スタイルも声も素晴らしいし、今からアイドル歌手になっても成功しますよ」
「歌の才能はありません」
「じゃあ、モデルか女優、という道もありますよ。失礼ですが……」
「十八です。家政婦歴三年です」
「何か好きなことって、ありませんか」
「小説が好きです。中富先生の大ファンです」
真里衣は顔を赤らめた。中富も顔を紅潮させながら、彼女を更に可愛いと思った。抱きしめたいくらいだった。これから先の生活を思うとわくわくする。
「先生はやめてください。わたしはあなたより若いんですから」
「え?そ、そうなんですか?」