みどり色のかぼちゃランプ
次の日、トビーに一日待ってもらう約束をして、家に帰ると、ジミーは食卓の上に置いてある、深いミドリ色(というより黒に近い色でした)のかぼちゃを見つけました。
それはあまり大きくなかったけど、ちゃんと中身はくり抜いてあって、中身は鮮やかなオレンジ色でした。
これなら皮を剥いてやればオレンジ色のかぼちゃになるはずです。
ジミーはがぜんやる気を出しました。
台所からナイフを持って来ると、先ずはジャック・オ・ランタンの顔を彫り始めます。
小さい頃にお父さんがやっていたように、ナイフの先でかぼちゃの顔を描くのですが、お父さんはあんなに簡単そうにやっていたのに、ジミーには上手くできませんでした。
お母さんが仕事から帰っても、夕食を食べた後にもなかなか思うように進みません。
ようやく目と口を彫った頃には、とっくに寝る時間を過ぎていたのでした。
「ジミー残念だけどもう寝なさい」ナオミはオバケの衣装を作っているので、かぼちゃランプの方は手伝ってくれませんでした。
そしてジミーは泣く泣くベッドに向うのでした。
次の日、ジミーはなんとかトビーを振り切って帰ろうとしましたが、意地悪なトビーがそう簡単に逃がしてくれるはずが有りません。
ニヤニヤしながらゾロゾロとジミーの家の前までやって来たのでした。もちろん、マイケルやウィルも一緒です。
そして窓辺に置いた深いみどり色のジャック・オ・ランタンを見つけたのです。
お母さんが何とかしておいてくれるんじゃないかと、淡い期待をしていたジミーは落胆を隠せませんでした。
「ヤーイ、ジミーのジャックはみどりかぼちゃだ!」トビーが嬉しそうにはやし立てます。
「ジミーのジャックはみどりかぼちゃ!」トビーの子分も大合唱です。
「うるさぁい!」ジミーは怒ってトビーに掴み掛かりましたが身体の大きいトビーには敵いません。
簡単に突き飛ばされて転んでしまいました。そして尚もバカにされたのです。
「ジミーのジャックはみどりかぼちゃ!」
「ジミーのジャックはみどりかぼちゃ!」
ジミーは泣いて家に帰ったのでした。
作品名:みどり色のかぼちゃランプ 作家名:郷田三郎(G3)