緑の季節【第二部】
《新年です。おめでとうございます。今友達と初詣に来ています。真壁さんは?もしや〜ひ・と・り?じゃあ 沙耶香》
覚士はすぐに返信をした。
《新年明けましたね。沙耶香さんの就職が決まったらおめでとう言おうかな。
追伸・・人ごみは気をつけて》送信
その後、インスタントのカップ蕎麦を作って食べながら しばらくテレビを見ていたが
徹夜もさほど得意ではなく、クッションを枕にうたた寝をしていた。
気がつき布団にもぐり込んだ後、目覚めたのは新年を迎えた日の昼近くだった。
「新年早々、朝寝坊です。里美おはよう。また新しい一年が始まるよ」
覚士は里実の写真に話しかけると、窓のカーテンを開けた。
日差しが爽やかに部屋に降り注いだ。
母の手料理と買い込んだものでひとり食事をしながら、沙耶香にメールをした。
《休みはいつまでですか?どこかで会いますか?》送信
と、返ってきたメールは覚士の期待とは違っていた。
《ごめんなさい。今は会いにいけません。また後日報告しますが、ごめんなさい。でも待っててね。沙耶香》
《何かありましたか?・・》
覚士は返信を綴り始めたがメールの文字を消して携帯電話を閉じた。
気になりつつも返信ができなかった。
年始にひとりで過ごすのはつまらないと思いつつも、ふらりと町へ出かけたり、店に立ち寄ったり だらだらと時間を費やすこともまた楽しかった。
そんな休暇も今日までと思うと、もったいなく少し夜更かしをしてしまった。