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緑の季節【第二部】

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『クリスマス・イヴ』の日。
朝からの冷え込みに『ホワイト・クリスマス』になるのではないかと思われた。
覚士は、いつもどおりに仕事へ出かける支度をした。
沙耶香への包みは壊れないように紙袋に入れ、部屋を出た。
事務所内もなんとなく退社後の予定の話が出ているようだった。
そのせいか、この日の退社時刻には帰る人が多かった。
そのひとりである覚士も社を出るといつもとは逆の車線へ車を走らせた。
待ち合わせ場所には、手袋をした手に息を吹きかけながら待っている沙耶香の姿があった。
「お待たせ」
そう声をかけると、沙耶香はにっこり笑って近づいてきた。
もう足もすっかりよくなったらしく、買ったばかりのブーツがよく似合っていた。
「わぁー。真壁さんだ。こんばんわ」
「待たせたかな。寒かったでしょ」
「大丈夫、最近の下着は薄くて温かいから」
ふたりは車に乗り込むと、も一度会釈をし合った。
「さて、なんの予定もしてません。どうしましょうか?」
「そうですかぁ。じゃあどこか景色のいい、車の止められる公園みたいなところへ」
「そんな所がいいの・・・」
覚士は思いつく場所へと車を走らせた。
「ここでどうでしょう?」
「うん、悪くないです。今日は、沙耶香が『クリスマス・スペシャル・ディナー弁当』を作ってみました。正直、味ではなく 頑張ったことで許してください。寒いけど外に出ませんか?」
沙耶香が待ち合わせ場所で持っていた大きめの袋の中身がわかった。
「今日は、お酒はなしね。前、沙耶香だけ飲んじゃって真壁さんつまらなかったでしょ。ジャーン」
そういって広げられたお弁当はクリスマスにつき物の品々や沙耶香が得意としてるらしいもの、挑戦したらしい少し形の歪んだものがふたりでは多すぎるほどはいっていた。

作品名:緑の季節【第二部】 作家名:甜茶