緑の季節【第二部】
翌日は、少しみぞれ交じりの雨が降ってきた。
天気予報もはずれの日だった。
覚士は、溜まった洗濯をすると部屋中に干した。
タオルは、必要が多いので備え付けの乾燥機でやもなく乾かすことにした。
部屋は季節はずれの七夕祭りのようだ。
場所によっては移動するたび、顔に洗濯物が触る。
少々暑い温度で部屋を暖めたがガラスに水滴が多く付いてきたので心持、窓を開けた。
こんな日は家に居るのも憂鬱になる。
(当たり前だが、色気のない干しものばっかりだ)
空いたところに腰を下ろし、テレビのスイッチを入れた。
ほとんど見ることはないが、たまにつけるとそれなりに興味のあることも放送していたりするもので、『まだ間に合うクリスマス特集』などという話題が放映されていた。
プレゼントやレストラン、服装に至るまでコーナー担当の女性レポーターがはしゃぎながら解説していた。
内容はとくに見ているだけのものばかりだったが、商品を紹介している脇に目に留まったものがあった。
その店は場所もわかるほど、マンションから程近いところにあった。
覚士は、着替えると早速出かけた。