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緑の季節【第二部】

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マンションに戻った覚士は、冷えた部屋の窓を開け放した。
カーテンが大きく揺れるほど冷たい風が吹き込んだ。
カーテンを開けると夜空に星が見えた。
ベランダに出て見上げると小学校の頃、習ったカシオペア座やオリオン座、白鳥座、もう忘れてしまった冬の星座といわれる星を見ることができた。
しばらく、ぼんやり眺めていたが、体が冷えてきたらしくクシャミが出たので部屋へと戻り、窓を閉じた。
体に疲れはあるものの、なにか吹っ切れた心地よさを感じながら眠りについた。

次の週は、里山のいう資料の山に、時間の足りなさを感じるほどにあっという間に過ぎていった。
週末、帰りの車の中で携帯が鳴った。
『沙耶香』
メールとわかったのでとりあえず、そのまま走り続けたが、途中のコンビニの駐車場に停車した。
《メリークリスマス!ちょっと早かったカナ?元気ですかー?今年もこの季節になりましたが、ご予定は?そっかぁ会社は忘年会とか、なんたら会って付けては飲み会シーズンですよね。真壁さんも呑み助でしょ。沙耶香も友達とワイガヤやってます。がーーーー!
会いたーーーーーい》
久し振りに届いたメールは、何度も瞬きをしたくなるような書き方のものだった。
(やっぱり年の差を感じるな)
ふっとつくため息も笑い混じりになってしまった。

マンションに戻った覚士は立ち寄ったコンビニで購入した弁当と缶ビールで食事をしながら沙耶香への返信メールをどうしようか迷っていた。
一度は振り切ったつもりの思いもあるが、彼女の屈託のない笑みと過ごす空間の心地よさは安らぎを感じるものであることは否めなかった。
結局、返信をする為に携帯電話を手にしたのは、食事を済ませ入浴して布団に潜り込んでからになった。
《予定は未定ですがこちらでの年末もいいかな。また連絡します》送信。

作品名:緑の季節【第二部】 作家名:甜茶