小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

緑の季節【第二部】

INDEX|64ページ/88ページ|

次のページ前のページ
 


しばらく歩いて行くと、前方を里山が一人歩くのが見えた。
やや早足で追いつくと、声をかけた。
「里山さん」
「あ、真壁さん。こちらですか?」
「ええ、今日は車を会社に置いてきたので、駅までご一緒していいですか」
「はい」
一息の間はあったものの話を続けた。
「わりに美味しい店でしたね。食べ過ぎたようでベルトがきついですよ」
「真壁さん、スマートだから少々平気でしょ」と優しい笑みを見せた。
里山は、飲んで顔が赤かった。
「里山さんは、結構飲んだの?」
「すぐ、顔に出るから恥ずかしんですけど、今日は、生中を半分くらいとサワーを一杯かな。どれだけ飲んだのって顔してるでしょ」
はにかみうつむく里山は可愛くみえた。
「あの、里山さん。こんな話こういう時になんだけど、『ごめんなさい』やっぱり特別な気持ちが持てなくて。なんていうのかな、仕事のことだと何でも話せるし、僕の必要なことがすぐしてもらえて とっても助かるし、頼りになるし、なくては困る人なんだけど、
プライベートになるとどう接していいか。正直わからなくて。ごめんなさい」
「はい。わかりました。でも片思いできて良かった。今まで男の人苦手なところあったけど、真壁さんを意識するようになってから恋愛に少し前向きになれたし。もう気にしないでくださいね。来週いっぱい資料お願いしますから宜しくお願いします」
「こちらこそ、またサポートお願いしますね」
冷たい風が通り抜け、路上の枯葉を舞い上げた。
「ふう、あっ私、母に頼まれたことがあったのでここで。失礼します。お疲れ様でした」
「お疲れ、気をつけて」
明るく手を振り、小走りに里山は路地を曲がって行った。

作品名:緑の季節【第二部】 作家名:甜茶