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緑の季節【第二部】

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車の流れも順調に進むようになった頃には空を朱く染めていた夕日は沈んでしまった。
「おなか空いたね。今夜は何食べようか?」
「何か作りましょうか?といっても たいしたものできないけど」
「まだ家までかかりそうだし、これから食材買って作ってもらうのは可哀想だよ」
「じゃあ、私のリクエストでもいいですか」
「以前チケットで行ったほどの所じゃなかったら大丈夫かな。ははは」
沙耶香はバッグから紙片を取り出した。
「ファミレスでもいい?」
「構わないよ」
沙耶香が手にしていたのは、ふたりでこちらに来たときに、一緒に入ったファミレスの
割引券だった。
「これね、今月末までなの。真壁さんとの最初の思い出の場所。なんてね」
その店までは順調で席にも待たずして案内された。
ふたりで過ごすことにお互いが何かを求めているようだったが、たわいもない話で終始盛り上がった。
「あー美味しかった。動かないのに食欲だけはいつもと変わらず。太っちゃうかな」
「大丈夫。じゃあ出ようか。今日は僕が」
「じゃあこれ」
沙耶香に割引券を差し出されて覚士は少し苦笑した。
(あ、そうだった・・・)
会計をする覚士の後ろで沙耶香は待っていた。
「ご馳走様」
再び、自動車に乗り込んだ頃は、もうすっかり暗くなっていた。
帰り道、近くのコンビニで朝食の買い物を済ませるとマンションへと戻った。

作品名:緑の季節【第二部】 作家名:甜茶