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緑の季節【第二部】

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週が明けて、出向先の会社へ出勤すると、総務の社員が大きめの菓子箱を持って駆け寄ってきた。
「あっ、来た来た。真壁さんもクジ引いて」
「何ですか?」
「半期に一度の恒例行事でね、これは上半期分の戦利品をくじ引きで分けるの」
覚士は突き出された箱の中に手を入れた。
「わっ!」
総務の社員さんが、良いタイミングで驚かした為、一瞬覚士は箱から手を引いた。
再び手を入れると数えられるほどの紙片が指先に触った。
「いいんですか?僕が参加しても。いいもの貰っちゃいますよ」
「一緒に仕事しているんですから楽しみましょ」
「はい、じゃあこれで」
取り出した紙片には数字が書いてあるだけだった。
「じゃあ、お昼休みに総務へこれを持って来てください。はい、他に引いてない人居る?」
そう言いながらその人は事務所を出て行った。
昼休み、総務の前には数人の人が待っていた。
結構楽しみにしている行事なのだろう、受け取った人も順番を待っている人もがやがやと言葉を交わしながらそこに居た。
「真壁さんは?」
声を掛けてきたのは、先日携帯電話で関わった事務の女性だった。
制服のネームプレートに「里山」とあった。
「いや、まだ。里山さんは?」
「えー、私はこれ。お中元のジュース3本。あっ、前空きましたよ」
覚士は、先ほどの総務の社員に紙片を渡した。
「あら、まあいいわね。誰か誘ってね。はい、おめでとう」
そう言われ受け取ったのは『ペアチケット』だった。
その場に居た2,3人が振り返ったが、その全てが女性だった事の意味を覚士は気づいてはいないようだ。

作品名:緑の季節【第二部】 作家名:甜茶