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緑の季節【第二部】

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実家へ向かう道は穏やかだった。
「ただいま」
「暑かったでしょ」
母が出迎えた。
「はいこれ」
部屋に上がると母の前に大きな紙袋を突き出した。
「ありがと。たくさんのお土産で」と母は笑った。
「悪いな。洗濯ものばかり作って」
「そうね。片付けてくれる女性(ひと)も作ってくださいな」
そんな母の笑顔を久し振りに見た気がした。
持ち帰った飲み物をテーブルの上に出したが、冷蔵庫から出したままだったせいで水滴がたくさん付いていた。
中味も温(ぬる)くなってしまっていた。
「はいどうぞ」
覚士の前に氷のたっぷり入ったグラスが差し出された。
「何を入れましょうか?目の前のそれを飲みますか?」
「普通、冷たいお茶とかアイスコーヒーとか入れて出てくるでしょ」
「あらそう?」
「まっこれでいいよ」
覚士は、持ち帰ったペットボトルの飲み物をグラスに注ぐとグラスを揺らしながら飲み干した。
「さてと、スタンド行って来る」

明日の朝には『さんぽみち』に立ち寄り、女の子を乗せて行く。
覚士はガソリンスタンドで給油と洗車をすると車内にも掃除機をかけて貰った。
とくに気になるほどの塵があるわけではないし、通常していることでもない。
(何なんだ・・)と思いつつもそうすることが楽しかった。
「タイヤ、空気圧もみてください」
自動車のメンテナンスも自分なりの完璧な状態にしたと、満足な気持ちで実家へと戻った。

作品名:緑の季節【第二部】 作家名:甜茶