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緑の季節【第二部】

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「いただきます」
いつの頃か、そんな挨拶をしてから食べるようになったほど、覚士はコレがお気に入りになっていた。
「はい、どうぞ」
ママも笑顔で答えていた。
カウンターに戻ったママに女の子は不思議そうに尋ねた。
「あの人挨拶してた」
「ああ、真壁さんっていう方。オープンの頃から来てくださってるのよ。そうよ。
沙耶香ちゃんのサンドのファンってとこかな」
「サンドのファン?何それ」
「モーニング限定のお客様なのよ。ふふ」
席に居る覚士と目の合ったママはにっこり微笑んだ。
「なに?」
ママは笑顔のまま首を横に2、3度振った。

覚士は、ゆったりとここで時間を過ごした。
白い角皿にはミントの葉が残っているだけに アイスコーヒーも氷の間にわずかにその色が留まるほどで、ストローで吸うには下品な音をたてるだけとなってしまった。

ガタン。
「ご馳走様」
カウンター横のレジで支払いをしながら覚士はママに話した。
「またしばらく来られないと思いますから今日はしっかり味わいました」
「もう帰られるの」
「はい、明後日に」
するとカウンターの中に居た女の子が顔を上げた途端に声を掛けてきた。

作品名:緑の季節【第二部】 作家名:甜茶