緑の季節【第二部】
6日間の連休はすぐに過ぎてしまいそうだった。
帰る前にもう一度『さんぽみち』のモーニングセットを食べに出かけた。
「伯母ちゃん、これメニューに入れてるの?」
「沙耶香ちゃんに教えてもらったから、モーニングセットにだけ出してるのよ。
伯母さんも上手になって沙耶香ちゃんの味は守っているわよ。結構評判いいんだから」
(えっ?このサンドを作った子?)
「沙耶香ちゃんはいつ帰るの?」
「切符取れたら、明日か明後日。込んでるだろうけどね。いっそビューンってヒッチハイクしてこっかな」
「何言ってるの。女の子がひとり、そんなことして」
「大丈夫やって、京都なんて近いもん」
覚士が居ることもすぐに気づかないほどふたりの会話は楽しそうであった。
「こんにちは」
「あっ、すみません。どうぞ奥へ。モーニングセットでよろしいですか?」
「お願いします」
ほとんどいつも同じ窓際の席に この日も座った。
「いらっしゃいませ」
水とおしぼりを運んできたのは、先ほどママと話していた女の子であった。
ママが運んできたモーニングセットは、開店以来変わらない 白い角皿に玉子のサンドイッチとフルーツ、小さなスイーツが盛り付けてあるモーニング限定メニューとアイスコーヒー。