非色──いろにあらず──
虚無
青い「空」という泉の中に
身を投じてしまいたいわたしがいる
その屍に白い「雲」という花を
手向けたいわたしがいる
そんなことを考えるわたしがいて
生きているわたしがいる
悲しみの中で
死んでしまった心は
どこへいけばいい?
草原の波に身をゆだねたわたしがいる
風という名の時が音もなく通りすぎていく
未来を追いかけ
過去を背負って
虚無の中へ──
死んでしまった心を抱いた
わたしがいる
このままどこか遠くへ行ってしまいたい
わたしがいる
眠り続けていたらとけてしまうだろうか
とけてしまいたい
空の中に 風の中に 草の中に
時の流れの中に息づいている
わたしは今
虚無という名の自分の中に生きている
眠りたい
眠っていたい
空と風と草の中で
生きることなど忘れたい
ああ
もうしばらくはこうしていたい
作品名:非色──いろにあらず── 作家名:せき あゆみ