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緑の季節【第一部】

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真壁 覚士が里実と出会ったのは、里実の勤める商事会社に出入りしていた時だった。
覚士は月に2度ほど取引先であるこの会社を訪れるメーカーのセールスマン。
里実は、専門学校卒業後、この会社に就職した。

里実は、入社して2年目を迎えた頃、会社内に気に掛かる男性ができた。
だが、その人には他にお付き合いをしていた女性が居た為、思いは成就しなかった。
それでも思いを抑えきれない里実は、軽い食事障害を患い、薬の服用をしていた。
「里実ちゃん、新しい恋をしなさい」と先輩の契約社員の女性に紹介されたのが
覚士だった。

覚士25歳。里実22歳。
覚士と里実が恋人の関係になるにはさほど時間はかからなかった。
容姿もおしゃべりも人を惹きつけるだけの魅力はあったこともそうだが、
里実の屈託のない笑顔が覚士の心を動かしていた。
いわゆる「ひとめぼれ」というもの。
すぐには心を開けないでいた里実ではあったが、覚士はそれを受け止めながら、
薬からも離れることができるよう穏やかな優しさで交際を始めた。

作品名:緑の季節【第一部】 作家名:甜茶