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緑の季節【第一部】

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その後運ばれてきたのは、バースデイケーキ。
ケーキの上には里実の名まで描かれていた。
「覚士さん、ありがとう」
「いや、コレは僕じゃないよ」
「・・お父さんね・・予約。もうばれちゃうじゃないね」
「良かったね」
里実は頷くと、下唇をそっと噛んだ。
ローソクの火を吹き消すと、パティシエがふたりの食べる分を切り分けると、
「こちらはお持ち帰りできるようご用意しておきます」と下げて行った。
コースの料理は、楽しい時間を過ごしたふたりのお腹におさまった。
「ちょっと待ってて」
里実は席を立つとパーテーションの陰へと消えてしまった。
しばらくして戻ってきた里実は席へと着いた。
「お待たせ」
「やっぱり、似合ってるよ」
「そう・・」
里実は艶やかな唇で少し照れ交じりの笑顔を見せた。

店を出たふたりは、土産のケーキを持って里実の実家へと立ち寄り、ケーキのおすそ分けをして帰った。
家に戻ると、覚士の親からのプレゼントも届いていた。
クリスタル風のフォトフレームだった。
ふたりは、偶然レストランで記念写真を撮ってもらったポラロイド写真を入れた。

作品名:緑の季節【第一部】 作家名:甜茶