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熱病<Lady>

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「うっかりか…いいよ、こういう時だし、近所だしさ。何か食ったか?」
私は横に首を振る。
「病院は」
「行った…肺炎かもしれないって言われたけど、検査したらそうじゃないみたい」
彼が溜め息をつく。
「食べ物は何かあるのか」
「病院の帰りに買って来た…でも何も食べたくない」
「少しでもいいから食えよ、薬飲まないと」
「…うん」
起き上がろうとする私を制して、
「いいよ、用意してやるから」
「えっ…そんな訳にはいかないよ…ごめん、もう帰っていいよ、あんなメール送ってごめん…」
「何言ってんだ今更。40度の熱出してる病人放って帰れるか。ちょっと待ってろ」
そう言って寝室から出ていく。
キッチンから棚を開けたり、レンジの音が聞こえる。
…彼女とはどうなったんだろう。

好きな人ができたからと、別れを告げられたのが1か月近く前だった。
突然の事で私は何も言えなくて、泣く事もできなくて、引き止める事もできなかった。
ちょうどその頃から仕事が忙しくなったのもあって、私はそっちに没頭した。
朝早くの仕事も、夜遅くの仕事も、とにかく仕事中だけは彼の事を忘れられた。
ふと思い出した時は、待ち時間中の誰かをつかまえておしゃべりをして気を紛らわしたりした。
風邪っぽいな、と思ったのは1週間ぐらい前だったけど、忙しくて病院にも行けなかった。
昨日の夜中、仕事から帰ってあまりに調子が悪いので、熱を計ったら既に38度を超えていた。
今日は早く終わる日だったので、その帰りに病院へ行って来た。

作品名:熱病<Lady> 作家名:すのう