絵画レビュー
カバネル「Cleopatra Testing Poisons on Condemned Prisoners」
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クレオパトラの周辺には、暖色系の美しさがあり、そこに衣服の清冽な青や瑞々しい黒が走る。だが、二人の美しい女性は罪人の苦しむ姿を見ることで毒の効き目を確かめているのである。
クレオパトラのぞっとするような残忍さを表現するために、画家は彼女をとりわけ美しく描かなければならなかったのである。美しさと残忍さは対立しない。むしろ美しさと残忍さは親和的である。美しくあるということは、きわめて攻撃的であるということだ。
左側の明るい場所に規則的に立ち並ぶ円柱が目を引く。この機械的な秩序は、罪人によって毒の効き目を確かめることの機械性を暗示しているかのようだ。つまり、手順があらかじめ決まっており、それに従って毒のテストが機械的に行われているのである。
そしてまた、毒のテストを執り行うクレオパトラもまた、機械的で冷徹な精神を備えているかのように思われてくるのだ。機械性−美しさ−残忍さ、これらが三位一体となって、クレオパトラを特徴付けているかのようだ。