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絵画レビュー

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エドゥアール・マネ「バルコニー」


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 バルコニーは、場としては中間的である。内部と外部の中間であり、また一階と屋根との中間として上部と下部の中間でもある。中間的な場であるから、対立する要素が混ざり合う場でもある。例えば右側の少女は、外気にさらされながらも、部屋の中の闇を背中に感じている。
 バルコニーは中間として諸要素が混ざり合う場、即ち交点であるが、交点であると同時に、あるいは交点であるがゆえに、そこから多方向に射出されるものがある。例えば三人の人物の視線はすべて違う方向を向いている。
 また、この三人は、たまたま交点としてのバルコニーで交わった(同じ時間を共有した)わけであるが、しばらくすれば再びそれぞれ別の時空間を生きることになるだろう。バルコニーの、交点であると同時に放射点でもあるという特性は、登場人物の生によって具現化されているわけである。
 さわやかでありながらよそよそしい緑。衣服の白は、この絵の緑と違和するようで融和している。緑は、部屋の中の黒と衣服の白との対立を、絶妙な色相で調停している。
 三人の人物は、部屋の闇から逃れてきたかのようだ。だが、一方で部屋の闇の魅力から逃れられていず、絶えずその引力を感じているようにも見える。部屋の闇の吸収力が、緑や白の散乱を防ぎ、絵としての安定感を作り出しているようである。

作品名:絵画レビュー 作家名:Beamte