小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

絵画レビュー

INDEX|3ページ/27ページ|

次のページ前のページ
 

サージェント「White Ships」


http://blog-imgs-23-origin.fc2.com/a/l/b/albatros2/sar06.jpg

 ぱっと見た瞬間、何が描かれているか分からない。だが、少し時間が経つと舟が何隻か停泊していると分かる。空や海はもっと青くても良かったはずだ。だが、空も海も白っぽいから境界がよく見えない。
 通常、空と海は対立している。その対立を中和し媒介するものとして船がある。だが、この絵には空と海の対立もなければ船による中和もない。すべてが「形象を超えて輝くもの」として等置されている。船は白く描かれることによって、形象を捨て去る。そして、無限の白い広がりへと今まさに流れ込もうとしている。
 この絵には二種類のリズムがある。斑点によるリズムと、直線によるリズムである。斑点によるリズムは印象派の絵によく見られるが、この絵ではそれが水面の筆跡によって実現されている。
 この絵に特徴的なのは直線によるリズムである。マストや綱、舳先、帆の輪郭などが、斜めに交差することによって複雑なリズムが生み出されている。リズムは単調であってはそれほどリズム的ではない。だから、直線が平行・等間隔に引かれた場合、そこにはリズムは余り感じられない。四分音符しか使われない音楽に人が大してリズムを感じないのと同じである。直線は、様々な間隔で、様々な傾きをもって交わる時、複雑で魅力的なリズムを生み出すのである。

作品名:絵画レビュー 作家名:Beamte