絵画レビュー
尾形光琳「紅白梅図屏風」
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この絵画は幾何学的だろうか? 確かに梅の枝などは幾何学的だし、川の流れの文様も幾何学的だ。だが、梅の全体のまとまりのなさや、川のうねり具合などは幾何学からは逃れているように感じる。そもそも、この絵を「幾何学的だ」「幾何学的でない」という見方から観ようとすることが間違っているのかもしれない。この絵は、幾何学と幾何学でないものが分化する以前の、素朴な自然とそれを描く素朴な画家によって生み出されたと解するのがよいだろう。
梅の幹の具合にしろ、川の流れの文様にしろ、とても荒々しく、すべてあらかじめ破壊されているかのようにも思える。多分尾形にとって、破壊や生成というものも未分化であって、生成を描くために破壊を用い、破壊を描くために生成を用いるという微妙なやり口が見てとれる。西洋的伝統に特有の、反省による分析・理論化、そういうものが感じられず、東洋的な、色んな対立項が未分化な精神風土を感じる。