絵画レビュー
Walter I. Cox「The Front Porch」
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描かれているのは人工の建物と階段、刈り込まれた生垣、整備された花畑である。いずれも人の手が加わって自然物が加工されたものである。
私はこの絵を見て違和感を感じた。もとい、余剰の感覚を得た。絵を描くということは、対象をもとに人間が神経質に一定の作為を行うということだ。ところがどうだ、描かれている対象は既に一定の作為が加えられている。一定の作為が加えられたものをもとに、さらに作為する。そこに私は余剰あるいは過剰を感じた。
つまり、この絵は、彫刻を模写したコンテ画のように、作為が加えられたものにさらに作為を加えているのである。だからもちろんオリジナリティはない。オリジナリティは、建物を設計した人、階段を作った人、生垣を刈り込んだ人、花畑を整備した人に帰属する。その意味ではこの作品にはオリジナリティの欠乏を感じる。
ある意味過剰でありながらある意味欠乏している。それが、私がこの絵を見たときに感じた居心地の悪さの原因であったのだ。