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BLお題短編集(同級生CP/年下攻元セフレCP)

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あぜ道を君と(S)



夏の暑い日だった。
ひょんなことから俊介を連れてきた、亡き母の故郷。
いわゆる田舎、民家の並ぶ地区を少し外れれば舗装された道を探す方が難しい、そんなところだった。
幼い頃によく遊んだ川に向かう途中で俊介を振り返ると、容赦なく照りつける陽射しに心持ち眉を寄せているように見える。いかにもインドア、涼しいところで本でも読んでいる方が似合いそうな俊介のことだ。この暑さはこたえるのだろう。
「木陰に入れば涼しいよ。少し休もうか」
松田の提案に、俊介は少し考える素振りをしてから素直に頷いた。

木の幹に背を預けて腰を下ろした俊介は、目を閉じると組んだ腕の間に顔を伏せて息を吐き出した。汗の滲んだうなじに目を細め、松田も隣に腰を下ろす。陽射しを遮られるだけでこんなにと思うほど、土はひんやりとしていた。
「マッチー、こんな暑いところで遊んでたの」
俊介の問いかけにそうだね、と笑う。
「子供の頃はあんまり気にならなかったんだけどね。今は室内にいることが多いから、さすがにきついかな」
そうは言っても俊介よりは平然としているのだが、松田の額にも汗は滲んでいるし、長い髪は首筋に張り付いている。それをかき上げ、シャツを仰いで体に風を送った。
「ん?」
ぱたぱたと仰ぎ続けていると俊介の視線がこちらを向いていて、松田は手を止めて俊介に意図を問う。
「…におい」
「え?」
「マッチーのにおい。流れてくる」
また目を伏せて、俊介はぼそぼそと呟いた。松田は言われたことを受け、自分のシャツに鼻を寄せる。
「ごめん、汗くさい?気をつけてるつもりだったけど」
「違う。そうじゃなくて……」
俊介は言いかけた言葉を濁し、そのまま立ち上がった。もういいの、という松田の問いに頷いたが、その顔はまだ熱を持って赤らんでいるように見えた。
松田も立ち上がり、服をはたいて俊介の顔を窺う。やはりまだ赤いのではないだろうか。手の甲を頬に触れさせてみると、俊介はひっと息を呑んで飛び退いた。
「な、なに」
「何って、まだ冷めてないんじゃないかなって。大丈夫?熱中症になっちゃうよ」
そう言っている間にも、俊介は木陰を出て先に進み始めていた。慌てて後を追い、再び突き刺す陽射しに思わず腕を顔の前にかざす。
「ちょっと、俊」
道も分からないだろうに、とりあえずどんどん進んで行く俊介。追いついて歩調を合わせると、俊介は休む前より一層眉を寄せていた。ほら、やっぱり暑いんじゃないかと松田は苦笑した。
「もう少し歩いたら河原に着くから。水に入ると気持ちいいよ」
答えない俊介にまた苦笑して、松田は真っ青な空を仰ぎ見た。