思いやり
「あなたが堀川さん?わたしは水野と云います。そうですよ。十時からわたしと堀川さんがペアで試合をすることになっています。抽選でそういうことになったんです。よろしくお願いします」
堀川も笑顔になって云った。
「そうですか。じゃあ、そちらに引っ越してもいいでしょうか」
「どうぞ。ご遠慮なく」
堀川が料理を運ぶのを、美羽も手伝った。
「水野さんは今年入社されたんですか?」
「はい。まだ新米です。堀川さんは?」
「今年じゃないことは確かです。苔が生えそうな、古株ですよ」
「テニス歴も長いんでしょうね」
「そうですが、一年ぶりですからね。空振りしそうです」
「わたしも始めたばかりですから、同じですね。中学生のとき、軟式をやってたんですけどね」
「そうですか。まあ、気楽にやりましょう」
「はい。よろしくお願いします」