桜の頃
−11−
翌朝は日曜日。
圭介と雅斗は 目が覚めるまで眠った。
先に目覚めたのは圭介だった。
雅斗の足がどこかを蹴飛ばしたようで圭介は目が覚めたのだ。
「おい、相変わらずの寝相だな。」
雅斗を起こさないように布団から起き上がるとキッチンへと向かった。
冷蔵庫から水のボトルを出して、口元に触らないようにボトルを傾けると口の中に注いだ。
「俺にもくれよー。」
雅斗も目覚めた。
二人は、外に出られる程度の身支度をして圭介の自動車で雅斗の家に向けて出かけた。
途中、この地域ではお馴染の喫茶店に立ち寄り、モーニングセットで朝食を済ませた。
雅斗の住まいは店を出て10分足らずの辺り、その前まで送りそのまま別れた。
圭介は真っすぐアパートに戻るつもりだったが、会社での資料の参考書を書店に見に行くことにした。
本の背表紙を眺め店内を回りながら 昨夜、雅斗に言われたことが頭に浮かんでいた。
(どうしたいんだ・・これから・・そろそろそういうことがあってもいいよな。もしかして彼女も同じ気持ちかな・・
言わないだけなのか。奥手といったって今どきの子ってそういうの待ってるとか・・)
圭介は自分の妄想に 本を探すことなどすっかり飲み込まれていた。
少し足早に店を出て自動車に乗り込むと、アパートへ帰ることにした。
圭介はある計画を実行してみようと考えた。
誰にも・・雅斗にも言わず・・。