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CROSS 第15話 『せめぎあい』

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   ヒューーーン!!!!!!

 そのとき、強烈な音が議事場に響いた……。
「何?」
霊夢は質問をやめて、天井を見た。電灯が揺れていたが、地震では
ないようで、何かが議事堂の上空を通過していったようだった……。

 そのとき、紫の近くに、八雲藍という紫の式神とそのまた式神の
八雲橙が現れた。八雲藍は焦っており、
「紫様、大変です!!! 帝国連邦軍の飛行機が、わが国の上空を
 飛び回っています!!!」
その知らせを聞き、レミリアと咲夜以外のその場にいた全員が少佐
を見た。霊夢は、御札を少佐に向け、妖夢は刀を抜いた。ちょうど
そのとき、サイレンが鳴り響き始めた……。
 当の少佐も予想していなかったらしく、彼はチラリとレミリアを
見た。彼女は、得意気な顔をしていた……。なので、少佐はすぐに、
状況を理解できた。レミリアが帝国連邦陸軍を動かしたのだった…
…。射命丸は、また「おもしろいこと」が起きたと、呑気な様子だ
った……。
「あなたが呼んだのね?」
紫が聞いてきた。その質問は少佐ではなく、レミリアに対してだっ
た……。レミリアは平然とした様子で、
「知らないわよ。帝国連邦軍が勝手に救出作戦をやっているだけじゃ
 ないの?」
そう言って、少佐に話を振った……。そのとき、またジェット音が
響いてきた……。
「仲間思いの軍隊にいて良かったですよ」
少佐はそう言ってやった……。
「あなたたちは戦争をやるつもりなの!?」
霊夢が少佐に御札を向けながら言った。彼女は怒っていた……。今
にも、弾幕攻撃を繰り出しそうだ。
「……別に戦争をやらなくても、そこの化け猫さんが大事そうに持
 っている箱で解決できるんじゃないのか?」
少佐は橙が大事そうに持っている金属製の箱を指さした。その箱に
は、ビックリマークがたくさんついていた……。橙はそっと、箱を
紫に手渡した。紫は嫌そうにその箱を受け取っていた……。代表た
ちは顔を見合わせていた……。
「あの箱が何かわかってるの?」
霊夢は少佐に真剣な口調で言った。
「あの箱は、あなたたちの異次元間弾道ミサイルの発射装置だろ?
 それぐらいは知ってるよ」
少佐はすらりと答えた。

 確かに、今、紫が持っている箱は、この幻想共和国が保有する異
次元間弾道ミサイルを発射するための装置が入った箱だった。緊急
事態に、この装置を使えば、国内の地下サイロからミサイルが発射
され、目標世界に向かって飛んでいく。着弾すれば、その世界は炎
に包まれる。しかし、その世界も同じように、異次元間弾道ミサイ
ルを発射していたとすれば、着弾や成果の報告が伝わることはない
だろう……。
 下手すれば、異次元中が核の冬に包まれるのだった……。