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CROSS 第15話 『せめぎあい』

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第4章 不条理



 当然ながら、代表者たちは動揺していた。ただ、レミリアだけは
余裕な表情で、発射キーらしいスペルカードを悠々と手にしていた
……。射命丸もあまりの事態の深刻さに、メモをとる手が止めて、
紫をじっと見ていた……。

「あなたを解放すれば、すべて解決するのかしら?」

 紫が箱を両手に持ちながら言った……。少佐を解放して、帝国連
邦軍を撤収させるのだ。帝国連邦からの連絡は無いが、要求が少佐
の解放であることぐらい、議事場にいた全員が理解していた……。
「それが最善の策でしょうね」
少佐は嬉しそうな表情でそう言った……。紫は考えた後、
「仕方ないわ。どこへでも行きなさい」
紫は静かにそう言った……。しかし、
「ちょっと、紫!!! 何言ってるのよ!!! やっとここまでき
 たのに!!!」
霊夢は納得できない様子で紫に抗議した。
「……霊夢、ここは我慢してちょうだい。今、私たちは『異次元間
 弾道ミサイルを使った件』のことで、そこの男とレミリアを追及
 しているのよ。ここで私たちがミサイルを使えば、後世で何て言
 われるかわかったものじゃないわ……」
紫は悔しそうな表情で言った……。しかし、
「そんな!!! あと少しで、こいつを集団殺害(ジェノサイド)
 の罪で裁けるのよ!!!」
霊夢は少佐を指さしながら言った……。
「……霊夢。お願いだから、あきらめてちょうだい」
紫が霊夢を説得し始めた。しかし、霊夢は納得できないという様子
で反論していた……。書記官は、この一連のやり取りを記録するべ
きか迷っていたが、射命丸は躊躇することなく、メモをすらすらと
とり始めていた……。

 少佐は、紫の気が変わらないうちに、この場を去ろうとした。少
佐が横にいるレミリアに、これで失礼するということを伝えた。
「後でまた連絡するわ。まあ、こんな茶番はすぐに終わるけどね」
レミリアはニヤリとしていた……。
「時間を無駄にしましたね。 『時は金なり』ということわざもあ
 りますが」
そのやり取りを聞いた霊夢は、少佐のほうを向き、
「いつか必ず、あんたを死刑台に送ってやるわ!!!」
肩を震わせながらそう言った……。

 少佐は気にすることなく、席から立ち上がり、後ろで刀を構えて
いた妖夢のほうを向いた。妖夢は身構えた……。
「オレから奪った物を返せ」
少佐はそう言って、両手を妖夢に差し出した。武器や通信機を返し
てもらうのだ。
「…………」
 妖夢は代表席にいる西行寺を見た。西行寺はさっきまでは、呑気
そうな笑顔だったが、今はもう少しも笑っていなかった……。
「……仕方ないわね。返してやってもいいわよ」
西行寺は静かな口調でそう言った。
「……わかりました」
妖夢はそう言うと、ポケットから少佐の武器と通信機などを取り出
し、それを少佐に軽く放り投げた。少佐はそれを受け取ると、まわ
りの視線を気にすることなく、装備した……。