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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第九回・四】くり・栗・みっくす

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「イモか」
京助が並べられた皿々を見て言った
「ハルミママさんが誰かから箱いっぱいもらったらしいんだっちゃ…それで」
緊那羅がお盆からオカズを並べながら言う
「僕イモ好きー」
悠助がサツマイモご飯の盛られた茶碗を慧喜から受け取りながら笑った
「俺もまぁ好きだけど…こうも素敵にオンパレードだと…」
席に着いた京助が箸をもって言う
「まだまだ沢山あるのよねぇ…」
母ハルミが茶の間に入ってきた
「さすがに飽きるだろ;」
傍にあった大学イモを箸でつまんだ京助が言う
「私も作っててちょっとそう思ったっちゃ;」
緊那羅が苦笑いで言った
「しっかし…本当イモイモだナァ; …美味いけど」
大学イモを飲み込んだ京助が言う
「悠助ご飯粒ついてる」
慧喜が嬉しそうに悠助の頬からご飯粒を取るとためらいもせずにソレを食べた
「あらあらラブラブねぇ」
そんな二人を見て母ハルミが笑う
「今更だろ;」
京助がサツマイモご飯をかき込みながら言った
「にしても…イモ…誰かに上げないとわるくなるわねぇ」
母ハルミが言う
「結構使えるんだけどね甘いし…お菓子にもなるけどモンブラン…スイートポテト…」
母ハルミがサツマイモでできるお菓子を挙げていった
「モンブランって栗じゃないっけ?」
京助が端をくわえたままで聞く
「あら? 知らないの? モンブランって栗だけじゃないのよ?」
母ハルミが言う
「俺上に栗が乗ってるケーキがモンブランだと思ってるし…栗…あ」
サツマイモコロッケを端に刺した京助が何かを思い出したらしく声を上げた
「何だっちゃ?;」
隣で醤油に手を伸ばそうとしていた緊那羅が手を止めて京助を見る
「南が栗くれるっていってた」
「南君が?」
京助が言うと母ハルミが聞き返した
「僕栗ご飯好きー」
サツマイモご飯をおかわりしていた悠助が言った
「明日取りに行くんだけど…イモと交換でもしてくっか?」
京助が聞く
「あら!! いいじゃない! たまにはアンタもいいこと思いつくのねー」
母ハルミが言った
「たまにってなんだよたまにって;」

ピルルルルルルル…

京助が口の端を上げて言うと電話が鳴った
「ハイ一番近い人」
母ハルミがすかさず京助を指差して言う
「ヘイヘイ;」
京助が箸を置いて立ち上がった
「栗?」
慧喜がきょとんとした顔で言う
「こんな形しててね~…甘栗とか僕剥くの遅いけど凄く好きなの」
手で栗の形を作った悠助が笑いながら言った
「なんだよ中島かよ…は? サンマ?;」
電話の相手は中島だったらしく京助が話している
「…秋の味覚万歳だなぁ; …いやウチもイモがさぁ…」
片足でもう片方の足を掻きながら京助が言う
「…うん……おお!! ソレナイスじゃん!!」
受話器を持った京助がいきなり大声を出すと一同が顔を上げた
「ウチなら落ち葉もわんさかあるし! いいねー!! 明日丁度休みだし! …うん…じゃ俺は坂田にかけるからよ」
京助が誰もいない方をむいて手招きのような仕草をしながら話している
「…またなにかやるみたいだっちゃね」
緊那羅がそんな京助を見てボソッと言う
「いいんじゃない? 楽しいことはしたほういいと思うわ」
母ハルミがモヤシの味噌汁を啜りながら言った
「ごちそうさまでしたー」
悠助が小さくゲップをしながら両手を合わせた