【第九回・四】くり・栗・みっくす
「臭いよ」
矜羯羅が煙を上げて燃えている落ち葉の山を見ていった
「仕方ないじゃん;」
そんな矜羯羅に中島が言う
「知ってる? 煙っていい女とかいい男の方にいくって」
南がまたしょうもないトリビアを言った
「それ多分ガセ!! 俺の方に来ない」
坂田が言う
「いやまさにトリビアだろう」
まだ頭にイガを乗せている京助が突っ込んだ
「どうでもいいけど臭いよ」
矜羯羅が手で煙を払いながら言う
「さっきから矜羯羅の方にばっかり煙がいってるっちゃね」
緊那羅が言った
「煙は正直なんだやな」
ゴがウンウン頷きながら言う
「見てくれはいいんだやな」
ゼンが矜羯羅を見て言う
「…なんかムカってきました」
京助が手を上げて発言した
「そういやタカちゃんは?」
南が制多迦の姿が見えないのを尋ねた
「悠助と慧喜と…庭にいる」
矜羯羅がまた手で煙を払いながら答えた
「ほっといていいのか?」
中島が矜羯羅に言った
「…もう僕だけじゃないから」
矜羯羅がふっと笑った
「制多迦には僕だけじゃないから」
矜羯羅が言うと3馬鹿と京助そして緊那羅が顔を見合わせた
「【みんな】がいるしね…ッケホ;」
にっこり笑って言った矜羯羅が最後の方で煙に咽た
「ゲホッ; カハッ;」
モロに煙を吸ったのか矜羯羅が激しく咽る
「こんの色男さんめ ザマァみろリン」
南がわざとウチワで矜羯羅の方に煙を差し向ける
「ウ~ラウラ」
中島もシャツをバフバフさせて煙を差し向けた
「怒るよ…ッ;」
涙目で矜羯羅が睨む
「男の嫉妬って醜いわァ~ん」
南がフッと溜息を吐きながらそれでも仰ぐのはやめずにいった
「コレは嫉妬じゃないさ!! 天罰だ天罰」
中島が更にバフバフしながら言う
「…何してるんだっちゃ…;」
落ち葉を補充しながら緊那羅が呆れ声で言った
作品名:【第九回・四】くり・栗・みっくす 作家名:島原あゆむ