税金裏話~所得税
耐震偽装問題=いわゆる姉歯事件の登場です。
地震は怖い。
官公庁や学校の耐震性見直しが、それをきっかけに始まりましたね。
よしっ、前から存在している地震保険を売り込もう。
でも、困った問題がありました。地震保険は何しろ保険料が高く、基本の火災保険と同じぐらいの金額になるため、阪神神戸大震災後でも契約率が伸びたといえ、まだなお10軒に1軒も入っていなかったのです。
地震があった時の保険会社の負担から考えて、保険料を下げられない。このまま、この話はボツか?
いや、地震保険加入者の税金を安くする制度を作ればいい。幸い、地震保険は、火災保険に入ることを条件に、おまけとして加入できる。伸び悩む火災保険でなく、地震保険を売っていきましょう。どうせ、地震保険高いのだから、この際、控除も高くしましょうか。
こうしてできたのが、地震保険料控除制度です。
傷害保険は掛け金が少ないのが多いから、控除からはずしましょう。一般の火災保険料のことも。今後ははずしていいでしょう。
火災保険とセットでないと地震保険に加入できないから、控除に含めなくても、保険会社は困りません。
保険料控除は、誰のために作られた制度なのか。
また、来年以降、新たに医療・介護に関する保険料を支払った場合、これも税金を安くする、医療保険控除制度が決まっています。
何だ、また保険会社のためか……いや、実は、今度の新しい保険料控除制度の裏は、そんな単純なものでないのです。ホラーみたいなものです。
いきなり、新制度の結論をお伝えします。
”日本の介護保険制度は、事実上破綻しました。”
……何だって、そんなことは聞いていないぞ。そう主張されることでしょう。報道もされていません。
しかし、状況を分析すると、そのような結論になります。
焦らず、慌てず、あきれず、お聞きください。
新しい保険制度は、将来の介護・医療費負担を、保険でまかなうものです。自費負担を軽減させるため、保険会社に積み立てて、いざ介護の時にお金をもらう保険です。
これだけ聞くと、保険会社の新商品の説明であって、何の問題もなさそうです。
しかし、国が、制度として、税金を安くする中に新たに組み入れたことが大切です。
現在、40歳以上が負担している介護保険料制度は、成立当初、将来が安心・保障されるとの鳴り物入りで国が宣伝していた(だから負担してね、とのことですが)ことを、覚えていますか?
まだ10年にもならないじゃないでしょうか。
舌の根も乾かぬうちに方針転換です、これは。
なぜかって?
国が保障すると称した介護保険制度が、本当に充実した内容でしたら、保険会社が、わざわざ保険商品を作るでしょうか? 充実したものに対抗しても、売れないから作るはずはないですよね、民間会社が。
さらに、国が後押ししますか、わざわざ。
結論は、一つ、介護保険の破綻です。
「介護保険に頼るな。高齢化社会だから、介護の費用は、自分でまかないなさい。まかなうのが大変ならば、保険会社に毎年払い込んで入って、いざと言う時の負担を少なくしなさい。そのため、税金を安くするから」
こんな、国の本音が聞こえてきそうです。
介護保険は、事実上、自動車でいう自賠責保険みたいなものになります。義務だから入るが、保障は少なく当てにならない。だから、保険会社の商品でまかないましょう、
そう、自動車任意保険みたいに、です。