税金裏話~所得税
リーマンショック以降、借入返済ができなくて、住宅を手放すニュースもちらほら聞かれます。しかし、一般企業への貸付けに比べれば充分な担保があり、信用保証協会のような保証人もあり、また借主が途中で死亡した場合の借入金に充てる生命保険料(銀行特有の住宅ローンの場合、銀行負担が多いです)があるので、しっかり・がっちり・ちゃっかり銀行は守られ、実に安全率の高い投資なのです。
そう、住宅ローンのある人は、銀行からみたら、優良債権の相手方なのです。
だから、大事にしましょう…国に働きかけました。
借りやすくなるイコール銀行の優良債権を増やすには、どうしたらいいのか?
しかも、あまり早く返されると、銀行としては、利息収入が少なくなるので困る。右肩上がり経済の当時、気がつく人は早期に返してしまうではないか……。
銀行も得をし、住宅購入者にも得になると一見思える方法はないのか?
住宅ローン返済の特徴は、何だと思いますか?
長期? それもそうですが、住宅ローン返済経験者の方は、その返済表をじっくりご覧になったことがありますか? 最初の頃は、利息ばっかり返して、ちっとも元金が減らない事実に、お気づきのことでしょう。
わかっているよ、それがどうしたって、言わないでね。
利息とは、残っている元金に掛け算したもので、これが銀行の収入になります。
そうすると、元金が減るのが遅ければ遅いほど、あなたの手元からお金が減り、金融機関はニコニコします。
銀行としては、早期に元金を繰上げ返済させない方法を、商売として考えることは当然のことでしょう。
ここで、つながります、住宅取得控除制度が!
たくさん借りているイコール元金が残っている人ほど、税金を優遇しましょう、となりました。しかも借りている間ずっとではなく、銀行側にうまみ(元金が減るのが少ない時期)のある、返済当初数年だけ、税金を安くしましょう(一番最初にできた頃は、借入当初5年)と。
なおかつ、市町村が文句言うといけないから、所得税だけ安くしましょう(この制度の歴史上、2年ぐらいを除き、ずっと所得税のみが安くなっていました)。
おわかりでしょうか?
金融機関の新たな営業戦略と、当時、いわゆる護送船団方式で守るために行われたのが、元々のきっかけだったんです。
政治的にも、いいアピールですね。
また、当時の公営住宅の不足解消にも…。
当初数年、税金が安くなると知れば、一般の人は、目先の税金払いたくないからと、わざわざ繰上げ返済を早期にしない傾向があります。返済するのは、住宅取得制度で税金が安くなる期間が終わってから……このように考えがちです。
しかし、意図的に所得税のみしか安くならないとは言わず、たくさん利息を払った後に、
繰上げ返済に応じてもいいかの姿勢……おかしくありませんか?
住宅ローン返済中の人で、住宅取得控除の適用を受けている最中の方がいましたら、一度確認してください。昨年払った利息の総額と、住宅取得控除で戻ってきた税金の総額と、どちらが多いでしょうか?
ほとんどの人は、利息だと思います。
税金は払いたくないでしょうが、それ以上に自分の財布からお金がなくなる――この点を考えて、自分の財産を、守っていきましょう。
制度に頼りきらず、上手に利用することです。