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郷田三郎(G3)
郷田三郎(G3)
novelistID. 29622
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コスモスの咲く頃

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 結局ヤツも不安だったのだろう、オレは立会人にされたのだ。
 アイツは広い花畑の中の細い道に入っていった。
 後に着いて行こうとするオレを止めてだ。
 いきなり始めようとでもいうのか?
 畑の真ん中にこんもりと盛り土がしてある。
 アイツはそこに立って周囲を見回した。
 コスモスがソレに答える様に空気を振動させた。
 アイツが言っていた。
 コスモスは(といってもごく限られた種だが)ある程度群生すると意思を持つようになる。それもかなり明確な意思なのだそうだ。
 そしてその強力なチカラで空間に道を作るのだと……。

 アイツが何か大きな声をだした。
 声というより音に近い、オレの知っている言語には無い音だった。

 物凄い音、強烈な光、そして自分の身体が冷えて行く感覚に襲われた。
 しかし音も光も外からではなく、自分の中で発生しているのが分かった。
 どのくらい経ったのか分からない。が、気がつくと畑の真ん中のアイツは跡形も無く消えていた。

 オレはキツネにつままれた様に暫くそこに立ちつくしていたが、やがて一人で小屋へ戻って床に就いた。
 眠れはしなかったが、不思議と恐れや不安などというネガティブな感情は湧いて来なかった。

 翌朝、何も無かったかのように日が昇る。
 コスモスは相変わらず美しい花を咲かせていた。

 もしかしたらオレはアイツに騙されているのかもしれないと思った。実はどこかその辺からオレを見ているのかと……。