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空想科学省電脳課です。

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「空想科学省です。」
外観から、相当な資産持ちだということが伺える邸宅の前まで来た彩人は、指紋を付けることを躊躇するくらいに綺麗に磨かれたインターフォンを恐る恐るプッシュし、いつもの決まり文句を言う。これで留守だったら、幾分か言い訳が出来る。留守、でも出掛けているというのもそれはそれで色々面倒だから、居留守が一番良い。ずっと家の中にいてくれ。頼むから。そんな彩人の願いも虚しく、変人なわりに律儀な風吹陽斗は、太陽のようなきらめく笑顔でディスプレイに現れた。赤茶けた髪の毛は、相変わらずぼさぼさだった。
「はいはーい、風吹でっす!」

「んだよー、お前か。」
「インターフォンでわかるでしょう……嫌なら出ないで下さいよ。」
「ディスプレイはオフにしてあるんだ。そのほうが面白いし、『鍵忘れちゃったから、開けて』って都夜の声が聞こえたら、なんだこいつ可愛いなあ!ってなるだろ?」
「うざっ、インターフォン意味ねえ。ていうか、今はどこの家も声紋認証システムでしょう、鍵ってなんですか。」
そもそも、陽斗さんの三倍はしっかりした都夜さんなら、忘れ物するってコト自体ないと思うんですけど。

新婚で幸せいっぱいの風吹陽斗・都夜夫婦は、とんでもないバカップルである。出会いは、陽斗が空想科学省に入る前で、長い交際期間を経て、一年前にようやく入籍を終えた。それというのも、妻・都夜の実家が、とんでもない名家だったからだ。都夜は、国内シェアを独占するような大企業のお嬢さま、それも一人娘だったのである。どこの馬の骨かもわからぬ優男に娘はやれるかと、ひと悶着もふた悶着もあり、陽斗が婿養子として風吹の家に入り、仕事を辞めて家庭を守ることで、今の幸せな新婚生活と相成ったわけである。彼は専業主夫だった。

「ヘビーベイビー?知ってるよ、作ったの俺だもん。」