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妻の企み

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直樹と佳奈美。
惚れ合って、熱い気持ちで結婚したのが三年前。

しかし、佳奈美はバツイチ。 
その上に幼い娘の愛華がいた。

それも全部受け入れて、直樹は結婚した。

東京でとりあえず小さなアパートを借り、そして三人の生活をスタートさせた。
佳奈美は娘の世話を義母に手伝ってもらい、仕事を続けた。

直樹と佳奈美は、新婚の甘い生活を楽しむ事も出来ないほど忙しかった。
そして、サラリーマンの宿命、直樹の身の上に無遠慮な命令が下された。

結婚して半年後、
直樹に京都への転勤辞令が発せられたのだ。 

直樹に他に選ぶ道はなかった。
そして京都へと赴任した。 

それから二年半、ずっと単身赴任を続けている。

直樹は、何度か佳奈美に京都へ来ないかと誘ってみた。 
しかし、東京での仕事にやり甲斐を見出しているのか、
それとも他に何か思いがあるのか … 。
直樹にはわからない。

結局、佳奈美は付いて来なかった。

直樹は、いずれにしても、
それが佳奈美の望む事であるならばと、その拒否に意義を申し立てなかった。

しかし仕事上では、二人とも油が乗って来ている。 
従って、ますます多忙。

直樹は毎週東京へは帰れない。
一方佳奈美が京都のアパートまで来れば、掃除までしてしまう羽目になる。
そして時間は取られてしまい、佳奈美の気も晴れない。

その結果なのだろう。
ある日、佳奈美から提案があった。

二週間に一度、
東京と京都の中間点、

その名古屋駅近くのモダンなホテルで
… 愛してと。

こうして、夫婦ながらも、
男女の逢瀬を重ねるようになってしまったのだ。


作品名:妻の企み 作家名:鮎風 遊