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てっしゅう
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「哀の川」 第二章 変化

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「良かったわね!私も嬉しいわ。ねえ、今から逢わない?車出すから事務所の前で待ってて、ね?いいでしょ」
「ああ、構わないけど」
「そうそう、私ね車変えたの。あの車じゃ目立つし、今度から直樹に運転してもらいたいから、ゴルフよ分かるでしょ?赤だけど・・・」
「そうなんだ!へえ、僕の好きな車だよ。楽しみだね、ちょっとドライブしよう。ぴかぴかの新車だねえ」
「うん、昨日来たから・・・じゃあ、すぐ行く」

麻子はすぐに来た。右側の運転席から降りて助手席側に座った。直樹がハンドルを握った。欲しいなあと思っていた車だったので、ワクワクしてきた。エンジンを掛けると少し重いエンジン音を感じた。シフトをDに入れてアクセルを踏む。軽快ではないがしっかりとした足回りを感じさせる動きで車は発進した。行く宛先もなく首都高速へと進入し、走り続けていた。隣の麻子は短めのワンピースを着ていたから、直樹からは白い太股がはっきりと見えた。この前のホテルでのことが思い出された。左手を伸ばし麻子と繋いだ。麻子は直樹にもたれかかるようにして呟いた。

「抱いて・・・この前逢ったばかりなのに、ずっとあなたのことばかり考えてた。ここにあなたの思いが挟まったまま、なの。こんな事初めて・・・いけない女ね」
車は高速を降りて、すぐにあったホテルへと入っていった。

今日は麻子の方が積極的になっていた。直樹はそんな麻子が成熟した女であることを改めて知らされた。風呂場での恥ずかしい仕草は変わらなかったが、ベッドでの振舞いは以前とは比べものにならないほど大胆だった。麻子は上になると言って直樹にまたがった。ゆっくりと直樹を感じながら自分も感じていた。動きを止め目線を合わせて会話をする。直樹が早くイカないように気遣っている。直樹もそれに答えるように我慢する。下から眺める麻子の身体は胸の豊かさとそれに反する腰のくびれとが女らしさを強調していた。少しおなかの辺りに余裕が見られたが、それがまた女性の柔らかさに感じられていたから、好きになるという事は欠点がなくなるという事でもあった。

直樹はとうとう我慢が出来なくなってきた。
「麻子・・・出そう・・・このまま出していい?」
「うん、いいよ。今日も構わないから・・・」
そのままの姿勢で直樹は果てた。麻子も直樹の上に身体を落とした。
こぼれだした直樹のそれも気にせずに放置した。

どれほど時間が経っただろう。麻子は身体を離した。太股の辺りにべっとりと着いたものを拭いながら、「気持ち悪くない?すぐに離れなくてごめんね。お風呂で洗ってきて・・・」
「いいよ、汚くなんか無いし。もう少しこのまま抱き合っていたい」
「うん、大好きよ、直樹・・・絶対に離さない、離れないから・・・」

そういって麻子は唇を再び求めた。髪をなでながらその思いに優しく答える直樹は心から麻子を愛おしいと感じていた。

麻子は一人で風呂に浸かっていた。直樹の出したものを洗い流して、少しけだるい感じのする身体を湯に浸して目を閉じていた。思い出したことがあった。今日の夜に夫がアメリカから帰ってくるのだった。遅い時間だと聞かされていたからもう少しゆっくり出来るが、気ぜわしくなるのが嫌だったから、帰る事にした。
身体を拭いてベッドにいる直樹の傍に腰掛け身体をそらしながら、右手で胸の辺りを触れ、「ゴメン、思い出したの、今日主人が帰ってくること。だから帰らなきゃ・・・」

直樹はじっと見つめて、自分の胸に置いた麻子の手を引き寄せ、そのまま抱き寄せた。止めていたバスタオルが外れ、肌が露出した。慌ててもう一方の手で胸を押さえた。直樹はその押さえた手をはずし、自分の顔を胸にもぐらせた。下から直樹は強くその先を吸った。そして身体を入れ替え自分が上になった。手で身体を起こし麻子の顔をじっと見た。

「帰らないで!このままここに居て。僕以外の人に触らせるのは嫌だ!麻子はボクの麻子だ・・・」
「直樹!嬉しいわ。私もそうしたいけど、お願い・・・今日は帰らせて」
「じゃあ、今からもう一度する!」
「ダメよ、触らないで・・・ダメって、言ってるでしょ・・・あ、あ、・・・」

直樹は指を麻子の中に入れた。そして直ぐに自分自身もゆっくりと押し込んだ。温かくぬめっとした感触が直樹を包んだ。さっき出したばかりなのに、もう我慢が出来なくなっていた。麻子の言った言葉への嫉妬からか、激しく腰を動かしてあっという間に果ててしまった。情けない、自分が情けない。こんな我慢が出来ないようではこのまま麻子とは続けてゆけない、麻子にきっと嫌われる、嫌悪感が襲った。

ふと麻子の顔を見た。泣いている。直樹のしたことが嫌だったのではない。自分の立場が辛かったのだ。分かっていたのに、承知して始めたのに、こうなる事は予想できたのに。直樹が気の毒でならなかった。自分の都合で悲しい思いをさせてしまっていることが・・・

「麻子・・・ゴメンな。ボクはやっぱりダメな男だ。麻子のことより自分がしたいだけなんだ・・・ヤキモチなんか妬いて、そんなの始めから知っていることなのに。強くならなきゃ嫌われるよね。もう嫌いになってる?君を本当に幸せに出来る資格なんて到底出来ないよ。もう、逢わない方が君のためだよ・・・」
「直樹・・・何を言うのよ!悪いのは私の方なんだから。夫の事を言った事は悪かったわ。あなたが心配しているような事は私たち夫婦にはもう無いのよ。夫には若い愛人がいるの。それは本当よ。アメリカへもその女と出かけていたし。でもね、純一にはパパなの、まだ。そして私はママなの。約束するから、この身体はあなた以外には触らせないって、あなたの優しさに答えられる唯一のことだもの・・・」

思い余ってそう言ってしまった。夫と無いわけじゃなかったのに・・・

「麻子、本当?なら嬉しいよ。でも無理しないで。夫婦だもの、無いっていう事はおかしいよ。逆に疑われるよ、僕たちのこと。でももう僕の前で旦那の事は話さないで、僕も聞かないから、ね?二人には二人だけのことしかないんだよ。いつか君と一緒になれたら、その時は命がけで幸せにして見せるよ」

直樹ははっきりと麻子に幸せにすると言った。いつか一緒になるとも言った。その約束は麻子にとって聞き流さなければならないことであったが、嬉しさのあまり抱きついた。

「直樹!約束よ!きっといつか迎えに来るって事!絶対よ。私は待っているから」
「うん、約束した。ぼく達はずっと一緒なんだ。今も、明日も、未来も」

二人は帰り支度をした。直樹は渋谷で車を降り、電車で帰ることにした。麻子の車が見えなくなるまで、今度は直樹が手を振って送っていた。
夫は麻子が戻って程なくタクシーで帰ってきた。少し酔っていた様子で麻子の顔を見るなり、抱きついてきた。避けるようにして、「大丈夫なの?酔ってらっしゃるのならすぐに御休みになられたら?」

夫からの返事は意外なものだった。