小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
てっしゅう
てっしゅう
novelistID. 29231
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

「哀の川」 第二章 変化

INDEX|3ページ/6ページ|

次のページ前のページ
 

麻子は強く直樹に抱きついた。背中をさすりながら、そして髪をなでながら、より強く抱きしめ、「もういいんだ。今のままでボクは嬉しいし、幸せなんだよ。麻子は、自分を大切にしなきゃ・・・お姉さんだろう?ボクより、いい子にしなきゃ笑われるよ」と慰めた。
直樹の冗談にくすっと笑い、涙を振り払った。身体を少し離し、真っ直ぐに直樹を見つめ、「ありがとう、私も幸せよ」と返事した。お湯を入れてくると直樹は風呂場に入った。洗面所で麻子は歯磨きを始めた。風呂場から出てきた直樹にも、「はい、これ」と歯ブラシを渡した。並んで歯磨きをしている光景に、麻子は夫婦のような感覚を感じていた。

鏡に写っている麻子は直樹には別の顔に見えていた。普段の高貴な香りのする婦人ではなく、少女のようなあどけない表情を感じていた。麻子もまた直樹の表情を別人のように感じていた。年下の甘えん坊じゃなく、凛々しい男っぽい印象を与える感じに見えていた。今日の直樹は確かにしっかりとしていた。時折見せるいやらしい仕草や動作も振舞うことが無かった。逆に普段しっかりとしている振る舞いの麻子は弱さを露呈してしまった。男と女はその本性を映し出すと、普段は見せない表情に変わるのだと、気がついた。恋をするという事は、お互いが本音でぶつかり合うという事なのだ。ごまかしや嘘はやがて見破られ破滅へと向かう。家庭生活のような妥協は恋愛には無用だ。麻子は思うがままに任せて直樹の心に飛び込もうと決めていた。

「お風呂もういいかな?見てくるね」
「私が行く!直樹は座ってて」麻子は立った。
「大丈夫よ、ちょうどいいぐらい。先に入る?」
「いいや、一緒に入ろうよ。ひとりなんてなりたくない」
「えっ?一緒に?あんな明るい所で・・・恥ずかしいわ」
「何を言っているの!ここまで来て。恥ずかしいなんて」
「あなたは男の人だから感じないのよ!女性はみんな恥ずかしいことなのよ!」
「わかったよ、ムキにならないでよ。でも一緒に入るからね。おいで・・・」

直樹は手を握って麻子を誘い、脱衣場まで引っ張っていった。
「先に入っているからすぐおいでよ!ね?」
「うん、わかった。言うようにするよ・・・」

直樹は遠慮せずに裸になりタオルを持って中へ入った。
麻子は髪を掻き揚げヘアバンドでくくった。白く綺麗なうなじがセクシーに、鏡に写った。そして外したブラから形の良い胸が写し出された。タオルで前を隠しながら、ドアを開ける。中に居る直樹とすぐに目が合った。とても恥ずかしくてうつむいてしまった。そんな麻子を、いじらしいと直樹は見つめていた。

かかり湯をしようと桶を手に取った麻子の右手が離れた瞬間、胸を押さえていたタオルが前に垂れて前がはだけた。そして桶の湯を大事な所へかける。もちろんタオルはもう外していた。再びタオルを手にして前を隠し湯に入ろうとを足を開いた。直樹の目線はじっとある部分に釘付けとなった。隠していたタオルからはみ出して麻子の女の部分が見えていたからだ。

「そんなにじっと見ないで!いじわる・・・」
「綺麗な身体してるよ、麻子は。素敵だよ」
「うそ!おばさんって思ってるくせして・・・」
「そんなことないよ!どれどれ見せてご覧・・・」
そういってタオルを剥ぎ取った。ゆれるお湯の中に顕わになった身体は、どこまでも白くシミ一つ無い綺麗な体を横たえていた。

「急になんてことをするの!女の気持ちもわからないで・・・」
「お湯にタオル浸けちゃいけないんだよ。でしょ?」
「そうだけど・・・もう、いいわ」そういって両足をピッタリとくっつけて、胸を両手で隠す姿勢を取った。
「何それ?防御してるの?ハハハ・・・可笑しいね」
「笑わないで!だってこの明るさじゃ丸見えになるでしょ!いやなの」
「じゃあこのスイッチ切ろうよ。ドアからの灯りだけにしたら薄暗くて気にならないよ」

直樹はそう言って、湯船から立ち上がり、扉の向こうで風呂場の照明を切った。洗面所から入る灯りだけで風呂場は薄暗く丁度いい感じに変わった。
「どう?これなら気にならないだろう」
「うん、ありがとう。ゴメンね、気を遣わせちゃって。直樹の前ではまだ恥ずかしいの。だっておばさんなんだもの・・・」
「麻子!もうそれ言っちゃダメ!ボクにはおばさんじゃない!こんなきれいな体しているのは、君だけだよ」

直樹の手が肩に触れた。二人の距離が縮まる。狭い湯船の中で足が絡み身体を寄せ合うともう抑えきれない感情が二人を襲い始めた。キスをして、長いキスをして、遂に直樹の右手は麻子の胸を掴んだ。それは柔らかく弾力のあるゴムマリのように感じられた。麻子は身体をよじり、直樹のしたことに反応した。

直樹の手は麻子の敏感な部分へと這わせてゆく。麻子の右手が直樹のそれを制止する。

「直樹・・・ここではいや。ベッドに行きたい。身体が熱くなって来たの」
「そうしよう」
「今日は大丈夫な日だから、安心して・・・」
「うん、嬉しい。でも、こんなに興奮してきているから、早く出ちゃうかもしれない。怒らないでね」
「何を言ってるの!そんな事で怒るわけないじゃないの。直樹の好きにしてくれれば構わないのよ。私は直樹が喜んでくれることが一番好きなことなの。気にしないでよ、これからも」
「ありがとう。さあ、行こう・・・」

身体を拭いて先に直樹はベッドに入った。麻子はバスタオルを巻いて、口紅と化粧を落としていた。早く来ないかとじっと洗面所のほうを見ていた。遅くなってごめん、と隣に潜り込んできた。すっと肌が触れる。直樹は風呂場からもうずっと硬直したままを保っていた。麻子はすぐにそれが分かった。待ちきれないようにバスタオルを剥ぎ取り、直樹は覆いかぶさってきた。少しゆっくりと思ったが、直樹のするがままに任せた。麻子の準備も恥ずかしいけどもう整っていた。夫との行為ではこんなすぐには迎え入れる事は出来なかったから、相手で変わるものだと、変に感心した。

「麻子!我慢できない!入れるよ!」
「いいのよ、直樹。来て!」
「あっ!気持ちいい・・・ダメだ・・・」
そう言って腰を早く動かした。直樹の最高の硬さを麻子は感じた。その瞬間声を荒げて直樹の動きは止まった。麻子は足を閉じて直樹のものを挟み、こぼれないようにして抱き合っていた。

何も言わずに時間は過ぎてゆく。麻子の腕はずっと直樹の首に回している。これほどまでに男の優しさを感じた行為は久しぶりだった。十分に満足させてくれたわけでは決してないが、自分のことを一生懸命に感じてくれた直樹の行為に麻子は十分に満足を覚えていた。


直樹の自宅に大橋弁護士から一通の書類が届いた。中を開けて見ると、そこには先日申請していた債権各社への減免措置が終了した旨が書かれてあった。直樹はこれで自分が借り入れた金額の半分を利息免除で向こう5年間で返済する決定を承諾するだけとなった。印鑑を持って再び大橋事務所を訪れ、礼を言って全ての手続きは終わった。毎月の返済金額は3万円程度に減ったからこれで毎週レッスンに通えると希望が湧いた。

早速麻子に電話した。
「今大橋さんの所から帰るところ。ありがとう、全部済んだよ。君のおかげ、本当に嬉しいよ。これでレッスンも何とか毎週行けそう」